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食品ロス環境問題

食品ロスの環境問題は?

SDGsへの関心が高まる中、食品ロスが及ぼす環境問題について特に問題視されています。

地球温暖化が進行し、年々上がる気温に嫌気がさしている人も多いことでしょう。

そこで、食品ロスと環境問題の関係性や取り組んでいる対策などを紹介していきます。

1人1人ができることもあるので、ぜひ参考にしてください。

食品ロスとは

食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。

そのため、野菜の芯や魚の骨など、食べることができない部分は食品ロスに含まれません。

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食品ロスと環境問題

食品ロスが問題視されている理由の1つに環境問題の大きさがあります。

食品ロスが発生しそれを焼却処理する際に排出されるCO2が地球温暖化の要因となる温室効果を助長しています。

結果的に食品ロスが増えることで地球温暖化を進行させてしまいます。

日本の食品ロスによる環境問題

日本での環境問題は、食品廃棄物の焼却処分だけではなく、食料自給率も環境問題に直結する問題なのです。

食品ロスを減らしていく取り組みを行うのは当然ですが、日本の場合は食料自給率の見直しも必要になっています。

日本の食料自給率は37%と低いため、残りの63%は輸入に頼っているのが現状です。

輸入に頼っているということは、輸送などにかかる膨大なエネルギーが必要になり、これらが地球環境に負荷をかけています。

大量に資源を使い、大量の食品ロスを出している日本は諸外国以上に食品ロスへの問題に積極的に向き合うべき立場にあるのです。

世界の食品ロスによる環境問題

日本では食品廃棄物を焼却処分しますが、世界の多くでは埋め立てによって処分をしています。

焼却処分をするとCO2の排出により、地球温暖化が進行します。

ですが、食品を埋め立てたときにもメタンガスが発生し、CO2の約25倍の温室効果があるとされていて気候変動の一因になっています。

温室効果ガス排出量では1位中国、2位アメリカ。

全世界の食品廃棄物から発生する温室効果ガス量を合算すると、これに次ぐ3位に相当する量になります。

世界が廃棄の仕方を埋め立てではなく、焼却処分を行うことで温室効果が抑えられるので、各国では焼却処分を検討している国が多く見られます

なぜ食品ロスが起こるのか

食品ロスを大きく分けると、事業系食品ロスと家庭系食品ロスに分けられます。

それぞれの発生原因についてみていきます。

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事業系食品ロスの発生原因

事業系食品ロスとは、事業系食品ロスとは、食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業など、事業活動の場面で発生する食品ロスです。

例えば、生産時の規格外品や売れ残り、外食時の食べ残しなどが挙げられます。

事業系食品ロスの主な発生原因を2つ紹介します。

在庫数が多いため

事業系食品ロスの発生原因として、商品の在庫数が多すぎることが挙げられます。

スーパーやコンビニでは、たくさんの種類の商品を陳列するため、多くの在庫が抱えられています。

特に、スーパーやコンビニが多い日本では、販売期間内に売り切れることがなく、廃棄されてしまう商品が多く発生しています。。

外観や品質の需要の基準値が高いため

日本では、食品の外観や品質の需要の基準値が高いことも事業系食品ロスの発生原因です。

形やサイズなどの見栄えが良い食品の需要が大きいです。そのため、供給者もそれに見合った食品を生産するようになります。

従って、少しでも見栄えが悪い食品は廃棄され、食品ロスに繋がってしまっています。

家庭系食品ロスの発生原因

家庭系食品ロスとは、年間で284万トンほど出ている食品ロスで主に、各家庭で発生している食べ残し、使わない食材、腐敗、カビなどです。家庭系食品ロスの主な発生原因を2つ紹介します。

賞味期限が厳しいため

家庭系食品ロスの発生原因として賞味期限の厳しさがあります。

「賞味期限」と「消費期限」があり、賞味期限はおいしく食べることができる期限で、

消費期限は、期限が過ぎたら食べない方がいいことをいいます。

おいしく食べたいがために、賞味期限が過ぎてしまうと捨ててしまう傾向が多く見られるため食品ロスが発生してしまう。

また、賞味期限が切れている物を食べるとおなかを壊すなど間違った認識をしていることも要因の1つです。

これが、食品ロスの原因になります。

日本の食品ロスへの対策

食品ロスへの日本の取り組みは国としては、2000年度の食品ロス量を2030年までに半減する目標を設定しています。

国の法整備

2000年に「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」を制定し、食品廃棄物の減量に取り組むと同時に、食品廃棄物を肥料や飼料などに再利用や熱回収を促す法律ができています。

また、2019年には「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法」を制定し、食品ロスの定義、国や地方公共団体、事業者の責務、消費者の役割を明確にするなどの対策を行っている。

ここからは、食品ロスの2つの原因についての対策や取り組みを紹介していきます。

事業系食品ロスへの取り組み

ここからは原因の1つである事業系食品ロスの対策や取り組みを紹介していきます。

3分の1ルールの変更

3分の1ルールと呼ばれる納品期限です。

3分の1ルールは、新鮮な食品を消費者に届けるために、食品メーカー、卸売り業者、小売業者の間で決めた商習慣です。

製造日から賞味期限を均等に3分割したもので、

  • 最初の3分の1は食品メーカーが小売店に納品する「納品期限」
  • 次の3分の1が小売店が商品を店頭に並べておいてよい「販売期限」
  • 残りの3分の1は消費者がその商品をおいて食べる期間「賞味期限」

このルールのもとでは、賞味期間の3分の1以内で納品できなかったものは、賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず、廃棄になってしまいます。

この商習慣が食品ロスに繋がるので、農林水産省を中心に見直し、新たに2分の1ルールに改める働きかけを行っています。

外食産業:食べ残しのお持ち帰り

一生懸命作った料理でも、毎回お客様が全て食べるとは限りません。

そこで、お持ち帰りして頂き食べてもらうことで食品ロスの削減ができるので、

お店の店頭にお持ち帰りができるロゴマークをつけています。

商慣習見直し

賞味期限の年月表示化の取り組みや納品期限の緩和等の商慣習の見直しが行われています。

フードドライブ・フードバンクの活用

フードドライブとは、家庭で余っている食品を集めて、食品を必要としている地域のフードバンク等の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設に向けて寄付する活動のことです。

表彰する

「食品ロスの削減の推進に関する法律」第16条において、国と地方公共団体は食品ロスの削減に貢献した人に対しての表彰を行っています。

また、消費者にも食品ロス削減の取り組みを広く展開していき、優良な取り組みをした人には表彰を行うようにしています。

手前取り

小売店において、消費者に「手前取り」を呼びかけるように促し、廃棄量を少なくする活動もしています。

家庭系食品ロスへの取り組み

家庭系食品ロスの対策や取り組みは消費者に委ねられているところが大きいです。

1人1人がどう意識し、何をやるかで食品ロスの削減に繋がります。

そこで、家庭でもできる対策、取り組むべきことを4つ紹介していきます。

買い物する前に冷蔵庫をチェック

買いすぎてしまうと、賞味期限が過ぎてしまい廃棄することになってしまいます。

そこで、買い物前に事前に冷蔵庫の中身を確認し、できれば使用する予定も立てると無駄な食材を買わずに済み、食品ロスだけではなく家計にも優しいです。

調理するときのポイント

食べ残しを防ぐために、食べられる量だけ作ります。

また食材を使用できるところは全部使い切りましょう。

冷凍保存で長持ち

余ってしまった食材などは適切な方法で冷凍し、保存するようにしましょう。

また冷凍したものに日付を書くと優先して使う食材などがわかりやすいです。

外食をした場合

食べられる分だけ注文し、食べきれなかった分はお持ち帰りするなどしましょう。

宴会で大量に注文した場合は、3010運動などの取り組みを実施しましょう。

世界の食品ロスへの対策

世界では食品ロスに対しどのような取り組みを行っているのでしょうか。

アメリカ・中国・フランス・イタリアの4カ国の取り組みを紹介していきます。

アメリカ

アメリカでは、小学校から高校で実施する「Food Waste Warriors」というプログラムを実施しています。

これは、問題の大小に問わず対処するために、意識を高め、個人が行動を起こす力を与えるための教育です。

学生の頃から、食品廃棄物への意識作りをし長期的な習慣の基板を作っていこうとするものです。

また、カリフォルニア州では、2022年に生ゴミの堆肥化が義務付けられました。

これは企業だけではなく、一般家庭でも当てはまり、コンポストにいれ生ゴミを堆肥化しなければなりません。

中国

中国では、2021年に食べ残しを禁止する法律「反食品浪費法」が可決されました。

これは過剰な量の食べ残しをしたお客さんに対して、飲食店側は食べ残した分の処分費用を請求できるといったものです。

また動画共有サイトで「大食い映像」の配信を禁止し、大食い番組に関わったテレビ局や動画配信業者に対しても罰金を科すようにしました。

フランス

フランスでは、2016年に食品廃棄禁止法が施行されました。

400平方メートル以上の店舗面積を持った大型スーパーマーケットは、賞味期限切れなどの理由による食品廃棄はできないというものです。

肥料や飼料としての再利用や寄付を義務化し、違反者には罰則が科せられます。

積極的に国が取り組んでいるので、国民も意識が変わり、「売れ残り」を再利用する働きが広がっています。

イタリア

イタリアでは、フランスと同様に2016年に食品廃棄規制法が施行されています。

寄付の手続きを簡素化することで、廃棄量を削減しています。

税制上の優遇措置が取られるため、罰則等はありません。

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