カブトムシと聞くと、小さい頃に飼育した思い出がよみがえりますが、実は食べられます。
その味はインパクトが強すぎると話題ですが、日本でカブトムシを食べるにはどんな方法があるのでしょうか。
また、カブトムシは食用として日本で定着するのでしょうか。
カブトムシは昆虫食として有望?
カブトムシは昆虫食として有望です。人が食料としてカブトムシを食べることができます。
昆虫食は未来の持続可能な食習慣として注目を浴びています。この記事では、昆虫食がなぜ日本で注目されているのか、優れた環境性や食糧供給の安定性などのメリットを探求します。 昆虫食とは何か? 昆虫食とは、昆虫を食材として利用する食習慣のことで[…]
食用カブトムシの味
カブトムシは、幼虫からさなぎを経て成虫になります。そのため、それぞれの形態によって、味が異なります。
形態によって食べるエサも味を左右します。カブトムシの幼虫は土、成虫は樹液をエサにするため、双方の味には違いが出てきます。
幼虫の味
カブトムシの幼虫は、やわらかく土の味がします。落ち葉などを微生物が分解して生まれる腐葉土をエサとするためです。
体内の排泄物を抜き、ショウガやバターなどで調理しても拭いきれないほど、土の味や匂いが強いです。
さなぎの味
カブトムシのさなぎは、幼虫より少し硬く泥臭さがあります。
体内を液体にして成虫になる準備をするため、ゆで加減により半熟卵や固めの桃のような食感に変化します。
成虫の味
カブトムシは、成虫のときが食べごろです。
クヌギやコナラの樹液をエサにするため土っぽさや泥臭さは薄れ、身の部分はしっかり噛みごたえがあります。
丸揚げにすると、エビや卵の殻のようなパリッとした噛みごたえになります。
食用カブトムシの栄養価
カブトムシは、高たんぱくかつ高カロリーで、その栄養価は和牛バラ肉より高く、イナゴと同等です。
なお、農研機構のNAROでは、カブトムシのタンパク質に含まれる抗菌性が、感染症やガンの治療薬になると着目し研究を進めています。
タンパク質 | 炭水化物 | |
和牛バラ肉 | 11g | 0.1g |
イナゴ | 75.0g | 12.6g |
カブトムシ | 70.7g | 15.1g |
東南アジアでは昆虫食としてポピュラーなカブトムシ
ラオスやタイでは、カブトムシは昆虫食として親しまれています。
ラオス
昆虫食大国のラオスでは、家庭料理の「チェオ」にカブトムシをいれるそう。
チェオとは、浸けダレのような食べ物で、焼いたトウガラシ、トマトに好みの食材を加えペースト状にした料理です。
トウガラシやトマトと一緒にカブトムシをすり潰せば、辛さが引き立つ家庭料理のチェオができあがります。
チェオは日本のカレーのようで、味付けは家庭により千差万別だそうです。
タイ
同じく昆虫食が色濃いタイでも、カブトムシはポピュラーな食べ物です。
タイでのカブトムシの調理方法はとても簡単。素材の味をダイレクトに楽しめる素揚げです。幼虫、成虫ともに油で揚げて塩を振って食べられています。
日本における食用カブトムシの現状
生産方法
秋田県に位置するバイオ系スタートアップの「TOMUSHI」(トムシ)は、食用カブトムシをエコに生産している注目の会社です。
TOMUSHIは、シイタケ栽培で廃棄するはずの有機廃棄物、廃菌床(おがくず)をエサとして再利用し、カブトムシの生産を実現させました。
2022年7月現在では、年間300トンの廃菌床を処理し、生産量が6万匹に到達しています。
販売方法
販売方法がまだ確立されていない食用カブトムシは、スーパーでは一般的に販売されていません。
そんな中、着々と販売台数を増やしているのが昆虫自動販売機です。
加工された食用カブトムシの賞味期限は製造から12ヶ月と長く、自動販売機での販売に適しています。
24時間いつでも買える昆虫自動販売機は、都内を中心に増加中です。
日本での食用カブトムシの楽しむ方法
通信販売サイトで購入して自宅で楽しむ
昆虫食の多くは通販サイトでの購入がほとんどです。食用のカブトムシも通販サイトで購入することができます。
昆虫食はご存知ですか? 近年、栄養価が高いと言われる昆虫食が流行しています。 『昆虫食は気になるけど、買う勇気が無い…』『何から買えば良いかわからない』 そんな方のために、今回は昆虫食通販サイトで買える食べれる虫をまとめ[…]
TAKEO
TAKEOでは、様々な食用昆虫を通信販売でき、食用カブトムシも販売しています。
加熱処理した後に乾燥させ、塩で味付けされたカブトムシが、1パック(6g)1,280円で通信販売できます。
そのまま食べても良いのですが、てんぷらや揚げ物にしてもおいしく食べられるようです。
パックの中には5匹程度入っているので、調理前と後のカブトムシを食べ比べてみるのも楽しいですよ。
バグズファーム
バグズファームは、複数のメーカーが扱う食用昆虫を通信販売できるサイトです。
バグズファームでは、オスとメスが入った商品からメスだけ、さらにカブトムシと他の昆虫が一緒に入ったミックスパックなどが選べます。
オスとメスが入ったパック(6g)と、メスだけ(4g)のパックはどちらも1,296円で、ミックスパックは2,700円です。
オスとメス、または他の昆虫とカブトムシの食べ比べが楽しめるでしょう。
お店で調理されたものを楽しむ
珍獣屋
横浜市中区にある、JR桜木町駅の西口を出て徒歩5分の位置にあるのが珍獣屋です。
ストレートな味が楽しめるカブトムシの丸揚げ(1,480円)が食べられます。
住所 | 〒231-0064 神奈川県横浜市中区野毛町1丁目45−1 第二港興産ビル 地図 |
電話番号 | 045-260-6805 |
営業時間 | 月〜金・日祝日:17:00~21:00土曜日:17:00~23:00 |
定休日 | 不定期 |
米とサーカス ダービー通り店
東京都墨田区にあるJR錦糸町駅の南口を出て、徒歩3分の位置にあるのが鳥獣虫割烹の米とサーカスダービー通り店です。
様々な昆虫と味の比較ができる昆虫10種食べ比べセット(2,980円)にカブトムシが含まれています。
住所 | 〒130-0022 東京都墨田区江東橋3丁目9−21 ニュー錦糸町ビル 1F |
電話番号 | 03-6659-4929 |
営業時間 | 月・水〜金曜日:15:00〜22:00 火:17:00~22:00 土・日・祝日:12:00〜22:00 |
定休日 | 不定期 |
野生のカブトムシは食べれる?
野生のカブトムシは食べないことをおすすめします。
甲殻類アレルギーによる呼吸困難を引き起こす危険性があります。
さらに、魚に寄生し食中毒の原因となるアニサキスのように、カブトムシにも様々な虫が寄生します。
野生のカブトムシに寄生し、人体に影響を及ぼすのが眼虫です。
カブトムシの眼虫が人に寄生すると、目が激しく痛んだり視力障害を起こすので危険です。
野生ではなく、紹介した通信販売サイトや専門店で食用カブトムシを食べましょう。
昆虫食としてのカブトムシの今後
カブトムシは今後、昆虫食として今より身近な存在になってくるかもしれません。
消費者との距離を縮めるうえで昆虫食の課題になるのが、見た目と味です。
先に紹介したTOMUSHIでは、食用カブトムシの見た目を解決できる商品を開発中で、クッキーやせんべいなどに加工しようと開発中です。
カブトムシが粉末状になり、味が分かる加工品になれば、消費者も手を伸ばしやすくなるのではないでしょうか。
そして、調理方法が見つかりネットの力で認知度が上がったカブトムシは、今よりも選ばれる昆虫食になっているかもしれません。