SDGsへの関心が高まる中、多くの食品ロスを出すコンビニの対応に注目が集まっています。
そのような状況下、コンビニ各社はさまざまな方法で食品ロス削減を図っています。
新技術を積極的に取り入れ、総菜などの消費期限を延ばしたり、売り残りの発生を抑えています。
ここでは、コンビニの食品ロスに関する現状や原因、それらへの対策をまとめました。
食品ロスとは
食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。
そのため、野菜の芯や魚の骨など、食べることができない部分は食品ロスに含まれません。
近年、ニュースでも取り上げられることの多い食品ロス(フードロス)問題。 実は30年前からメディアで問題提起されています。 一体なにが問題となっているのでしょうか。 日本の食品ロス状況、対策などを詳しく解説していきます。 […]
コンビニでの食品ロスの現状
日本全国で約5万6000店と店舗数が多く、コンビニは生活に密着しています。
そのため、賞味期限の切れたお弁当や恵方巻きやクリスマスケーキなどの季節商品などが大量廃棄されているのが現状です。
ファミリーマート、ローソン、セブンイレブンの3社が独自に発表している年間の食品ロス発生量を合計すると、約25万トンにものぼります。
日本国内における食品小売業が出す食品ロスは約60万トンですので、そのうち40%をコンビニ3社が出していることになります。
食品小売業における食品ロスを大きく減らすためには、コンビニ各社の取り組みが必須です。
今回は食品ロスの原因から対策、環境への影響についてみていく。 食品ロスを減らすために私たちは何ができるのだろうか。 食品ロス(フードロス)とは何か 食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品のことだ。 大[…]
コンビニでの食品ロスの原因
コンビニの食品ロスの多さには、2つの構造的な問題があります。
「コンビニ会計」による大量発注
一つ目は、「コンビニ会計」と呼ばれる、特殊な会計方法にあります。
コンビニ会計では、弁当の廃棄による損失は加盟店が負担しないといけない計算方式となっています。
そのため、本部は弁当が売れ残ろうが損失ではないため、少しでも多くの弁当が売れるように、加盟店に大量発注を促します。
その結果、食品の売れ残りが大量に発生し、膨大な食品ロスを生んでいます。
3分の1ルールによる厳しい納期期限
2つ目は、3分の1ルールと呼ばれる納品期限です。
3分の1ルールは、新鮮な食品を消費者に届けるために、食品メーカー、卸売り業者、小売業者の間で決めた商習慣です。
製造日から賞味期限を均等に3分割したもので、
- 最初の3分の1は食品メーカーが小売店に納品する「納品期限」
- 次の3分の1が小売店が商品を店頭に並べておいてよい「販売期限」
- 残りの3分の1は消費者がその商品をおいて食べる期間「賞味期限」
このルールのもとでは、賞味期間の3分の1以内で納品できなかったものは、賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず、廃棄になってしまいます。
この商習慣が食品ロスに繋がるので、見直しが農林水産省を中心に見直しを検討しています。
コンビニの食品ロスへの取り組み
食品ロスを減らすために、コンビニ業界での取り組みについてご紹介していきます。
大手コンビニ4社が共通して行なっている取り組みは「てまえどり」です。
商品を陳列する際に賞味期限が近い物を手前に置き、消費者に手前から取ってもらうためのシステムです。
賞味期限の近い物から売ることができるため、賞味期限切れによる食品廃棄が少なくなり、、食品ロスを削減することができます。
また、コンビニでは弁当をチルド弁当への品揃えにシフトしています。
チルド弁当は常温と比較して販売期限が2〜3日ほど長いため、廃棄が出づらいです。
弁当だけではなく、惣菜も真空チルドパックのタイプと変化していき商品によっては2週間〜1ヶ月と長くなっています。
続いて大手4社の取り組みを紹介していきます。
セブンイレブン
セブンイレブンでは、素材・製造工程・温度管理の見直しを行い、味やクオリティーを維持しながら、賞味期限を長くさせるチルド食品を開発・製造しています。
少人数でも食べきれるサイズ・長期間保存できるように配慮して作られたセブンプレミアムのパウチ惣菜は、家庭での食べ残しを減らすことに繋がります。
また、野菜を必要なときに必要な分だけを使い、冷凍保存できるカット野菜も積極的に品揃えを増やしています。
さらに、ポイント付与による食品ロスへの取り組みも行なっています。
販売期限が近づいた商品を購入するとnanacoポイントが付与されるため、消費者はポイントが付与されるだけでなく、自然と食品ロス削減に貢献でき一石二鳥です。
ローソン
ローソンでは、店舗でお弁当やパンを発注するときに「セミオート発注システム」という半自動の発注システムを導入しています。
これは、店舗ごとの売上・客数の動向、天候などの情報と合わせて分析し、それぞれの店舗にあったベストな品揃えと発注数を自動でしてくれるものです。
また、2019年8月から店舗への納品期限が切れてしまった加工食品やお菓子などを定期的に寄贈する取り組みを行っています。
寄贈した商品は、フードバンク団体を通して支援を必要としている家庭や児童養護施設などに送られます。
さらにローソンでは「Another Choice」というプログラムが話題になりました。
これは消費期限が近い商品を購入するとポイントが付与され、同時に子供たちにも寄付が届くというものです。
ファミリーマート
ファミリーマートでは、店舗から出る廃棄物を、廃棄物処理委託業者と取引することにより、飼料や肥料にリサイクルしています。
リサイクル飼料を与えて育った豚を食材にした弁当や惣菜パンなどを製造し販売しています。
また、店舗で揚げ物を揚げた廃食用油が石鹸やインクにリサイクルされたり、市営バスなどの燃料にもなっています。
さらに、イベントごとに発注される商品は基本的に「予約販売」のみに取り扱いを絞り、当日販売を取りやめ廃棄をしないようにしています。
ミニストップ
ミニストップでは、ファーストフードを製造する際に出る使用済みの油を委託業者を通じてほぼ100%リサイクルしています。
また、弁当などを飼料化、堆肥化、バイオガス化を積極的に行うことで、食品の廃棄を減らす取り組みをしています。