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電気自動車化よりも食品ロスを減らせ?食品を捨てると自動車並みの温室効果ガス排出

現在、世界の食料生産の3分の1は捨てられており、年間9億3100万トンものまだ食べられる食料が廃棄されています。
一方で、11人に1人が飢えに苦しみ、食の不均衡が深刻化しています。
日本も食品ロス大国の一つです。国連WFPが援助している食料の1.5倍に相当する612万トンもの食品ロスが年間で発生しています。

環境NPOの世界資源研究所(WRI)がまとめた11〜12年のデータによると、全世界での温室効果ガス排出量のうち、食品廃棄は8.2%で、航空の1.4%よりもずっと多いことがわかります。
IPCCの報告書「気候変動と土地」では、10〜16年に排出された温室効果ガスのうち、8~10%は食品廃棄によるものと推定されており、自動車輸送(10.0%)に匹敵します。

次に食品廃棄による温室効果ガス排出量を、排出量の多い世界の国々と比較すると、その大きさがわかります。
世界最大の排出国は中国、2番目がアメリカ、3番目がインド、4番目がロシアとなっています。そのなかで食品廃棄による温室効果ガス排出量は、アメリカの次に多いです。
食品廃棄は、世界第3位規模の排出源となり気候変動に深く関わっていることがわかります。
火力発電の多い日本では自動車の電動化よりも、食品廃棄による温室効果ガス排出量削減の重要性が特に増しているのではないでしょうか。

日本における食品ロスは、生ごみとして焼却処分される場合がほとんどです。
焼却すれば、二酸化炭素が発生します。埋め立てにおいてもメタンが発生するため、食品ロスを適切に削減する必要があります。

食品ロスの削減では、食品ロスを発生させないこと(リデュース:発生抑制)がまず重要です。その次に、さまざまな理由で不要となった食品についても安易に廃棄せず、出来るだけ食品として有効利用 (リユース)します。
それでもやむを得ず発生する食品ロスを飼料化や肥料化等のリサイクル(再生利用)することで、焼却や埋め立て処理を避ける必要があります。

環境省の試算によると、不可食部の約5割は肥料や飼料として活用されるも、残り4割は焼却、もしくは埋め立てされているのが現状です。

食品廃棄物の飼料化は、保存性を高めるために加熱して乾燥させる方法が一般的。そのため、大量のエネルギーを消費することになり、コストが高く採算に合わないことが再生利用の課題となっています。

そのような現状から、近年、食品廃棄物から高付加価値な素材を生み出すことで食品ロス削減に取り組む研究者たちがいます。
野菜などの食品廃棄物を利用した完全植物性素材が2021年5月25日に発表されました。原料によってはコンクリートの4倍近い曲げ強度をもつ新素材になり、建材に利用できます。
次項では、この食品ロスから生まれる持続可能な素材に迫ります。

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