昆虫食のデメリットとして、値段が高いことや見た目が悪いことが挙げられます。そのほかにも甲殻アレルギーや寄生虫による食中毒など昆虫食特有の危険リスクがあります。
この記事では、昆虫食のデメリットを洗い出し、普及に向けた取り組みについてまとめています。
昆虫食とは
昆虫食とは、文字通りで昆虫を食用として利用することを指します。
昆虫食の歴史は古く、特にアジア、アフリカ、ラテンアメリカの一部地域では一般的な食文化の一部となっています。昆虫食には多様な種類の昆虫が含まれ、それぞれ異なる風味や栄養価を持っています。
昆虫食が近年注目される理由の一つは、持続可能な食料資源としてのポテンシャルにあります。
昆虫は他の動物性タンパク質源と比較して、飼育に必要な飼料や水の量が少なく、温室効果ガスの排出も低いという利点があります。また、昆虫はタンパク質が豊富で栄養価が高く、食糧危機や栄養不足の解決策として期待されています。
昆虫食は未来の持続可能な食習慣として注目を浴びています。この記事では、昆虫食がなぜ日本で注目されているのか、優れた環境性や食糧供給の安定性などのメリットを探求します。 昆虫食とは何か? 昆虫食とは、昆虫を食材として利用する食習慣のことで[…]
昆虫食の普及のため解決すべきデメリットとは
昆虫食のデメリットは、以下の3つが大きく挙げられます。
- 高い販売価格
- 見た目の気持ち悪さ
- 昆虫食特有の危険性
高い販売価格を抑える
食用昆虫の販売価格は高い傾向にあり、欠点の一つです。
食肉や魚、野菜は供給量が豊富な一方で、食用昆虫は安定供給できる種類がとても少ないです。雑食で乾燥飼料で育ち、大量養殖が容易なコオロギなど一部の食用昆虫のみに限られています。
また、そのコオロギにおいても東南アジアといった年中気温が高い地域を好みます。そのため、食用コオロギの多くは海外から輸入するため輸入コストにより販売価格は高くなります。
日本で食用コオロギを養殖したとしても暖房によるエネルギーコストがかかるため、値段が高くなってしまうのが現状です。
日本国内においてもより効率的に低コストで食用昆虫の養殖を行えるようになる必要があります。
販売価格を抑えることで、素材そのままの販売だけでなく加工品としての流通も広がるのではないでしょうか。
見た目の気持ち悪さを改善し抵抗ゼロへ
昆虫食のデメリットとして見た目の気持ち悪さや不衛生なイメージがあります。
食用昆虫のパッケージをみた時、その見た目の悪さから食べることを躊躇した方も多いのではないでしょうか。
長い脚が何本も、独特な色合いや模様、そして頭から生えてた長い触覚。このような見た目を持つ食材が食卓に並ぶと、どうしても食欲が削がれてしまうものです。
また、草木の少ない都会ではハエやゴキブリを多く見かけます。そのため、昆虫といえば不衛生といったイメージが根強いです。
昆虫食の普及にとって、見た目の気持ち悪さや不衛生なイメージを払拭し、美味しく栄養価の高い食材としてのイメージを訴求していく必要があります。
昆虫食レシピを開発する
肉や魚、野菜などを調理するレシピは多く、家で調理して美味しく食べることができます。
しかし、食用昆虫にはそのような美味しく食べる調理方法はまだまだ少ないです。いざ昆虫食を始めようとしても調理方法が分からず無加工のまま食べることになります。
生活に根付いた昆虫食を普及させるためにも、美味しい昆虫食レシピの開発は必要不可欠です。
調理なしで楽しめる昆虫食製品を開発する
昆虫を触って調理したくないが、栄養価の高さに魅力を持っている方に手にとってもらうためにも、プロテインバーやスナックといった加工製品の開発も必要です。
忙しい朝や小腹が空いた時に手軽に食べれる製品などを開発すると、昆虫食を身近に感じてもらうことができるのではないでしょうか。
昆虫食を食べる環境を整える
今まで食べ物として認識してこなかった昆虫を口にすることに抵抗感をもつことは当たり前のことです。
このような今まで口にしたことの無い食べ物に対して、恐怖心をもち警戒する行動特性のことを「食物新奇性恐怖」といいます。
昆虫食レシピや加工製品の普及によって幼い頃から昆虫を食べる環境を整えておくことで、食物新奇性恐怖は無くなり、エビやカニと同じように当たり前に食べる食材の一つとなるのではないでしょうか。
昆虫食特有の危険性をゼロに
昆虫食のデメリットを正しく理解しないと危険リスクがグッと上がってしまいます。
昆虫食を楽しむ前の注意点は5つあり、甲殻アレルギー、寄生虫による食中毒、昆虫のもつ毒、賞味期限や未知のウィルスに注意しましょう。
また、上記の注意点の多くはしっかりと加熱することで防げる場合が多いので生で食用昆虫を食べないことが一番の対策です。
甲殻類アレルギーに注意
甲殻アレルギーを持つ方にとって昆虫食は危険です。昆虫のアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)は、エビやカニなどの甲殻類と似たものを持っています。
実際に、甲殻類アレルギーの患者がミルワームやコオロギを含む食品に反応するという報告があります。また、ゴキブリやコオロギにおいて、イカや貝類のアレルゲンと共通することも指摘されているので、貝類やタコ・イカなどのアレルギー患者も注意が必要です。
アレルギーを持っていない方もまずは少量から昆虫食を始めると安心です。
寄生虫による食中毒に注意
肉や魚と同様ですが、吸虫や条虫などの寄生虫による食中毒の危険性はあります。
この条虫はミルワームやゴキブリの成虫、トンボの幼虫を中間宿主とすることが知られています。昆虫食においても肉や魚同様に十分加熱処理が必要といえます。
食用昆虫を仕入れる場合、生産者が昆虫の逸走や侵入の管理をしっかりと行っているか確認することで、食中毒のリスクを下げることができます。
昆虫のもつ毒に注意
毒を持つ昆虫は多く存在します。毒クモとして知られるタランチュラや大きな毒針を持つサソリは毒を持つ危険な生物として有名です。
しかし、毒を持つサソリは全体の2%ほど。タランチュラの毒については、加熱処理により無毒化することができます。東南アジアでは、素揚げや串焼きとして当たり前に売られています。
正しい調理方法を学ぶことで安全に昆虫食を楽しむことができます。
昆虫食のメリット
昆虫食のデメリットについて焦点を当て分析してきましたが、メリットもたくさんあります。
食用昆虫のうちコオロギは、たんぱく質含有量が高く栄養価がとても優秀です。
また、養殖も省スペースで行え、生産あたりの水使用量や排出される二酸化炭素量も少なく環境にとても優しいです。今後の人口増加によるたんぱく質不足を救う食材としてFAOも取り上げており、世界で注目を集めています。
今後の昆虫食の普及に期待ですね!