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ビヨンドミートとは-食品テクノロジー企業に迫る

普段当たり前に食べている「肉」だが、実は社会的に問題を抱えています。

これから人口が増え、経済的にも豊かな人が増えてくると、肉の需要が高まり、生産が追い付かなくなります。

肉の生産には家畜ための穀物や水の大量確保が必要であることや、排出物による水質汚染により環境にも影響がでます。

このような問題を考慮したうえで開発され、話題となっているのが代替肉です。

今回は代替肉を開発・製造を行っている。食品テクノロジー企業「ビヨンド・ミート」について紹介します。

ビヨンド・ミートとは

世界的に流行となっている代替肉の中でも、ビヨンド・ミートの代替肉は特に人気があります。

2013年から全米のスーパーマーケットで販売され、2018年には生産能力を3倍まで上げ、50を超える国の小売店やレストランで代替肉を提供しています。

そもそも代替肉とは

代替肉とは、豚肉や牛肉、鶏肉といった動物の肉を使わず、植物などの別の材料で肉の見た目・肉の味を再現した食べ物です。

代替肉の作り方は様々で、「培養肉」という肉の筋肉の細胞を培養して人口的な肉を作る方法や、「植物肉」という植物由来の原料で食肉の食感を実現する肉を作る方法などがあります。

このように作られた肉は、本来の肉ではないため、「フェイクミート」とも呼ばれます。

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ビヨンド・ミートは何で作られているの?

ビヨンド・ミートの代替肉は、本来の肉のような食感をエンドウ豆や米、緑豆などのたんぱく質から実現しています。

また、肉の脂身のかわりを実現しているのが、カカオバターやヒマワリ油、ココナッツオイルなどです。

さらに、肉の赤身はビーツから抽出した成分を使っています。

ビヨンドミートの特徴

大豆を使用していないところがビヨンドミートの特徴です。

大半の植物性代替肉は大豆を使用しています。

商品パッケージにも、大豆が使用されていないことを示すために「NO SOY」を表記してあります。

このような大豆フリー商品は一種のトレンドとして増えてきています。

ビヨンド・ミートの代替肉は、美味しく、本物の肉を食べているような満足感だけでなく、大豆フリーな植物性代替肉であるところが人気となっています。

ビヨンド・ミートの開発企業

開発企業はどこ?企業元について

ビヨンド・ミートはアメリカのカリフォルニア州に本部を置く企業です。

2009年にイーサン・ブラウンが設立して以来、様々な企業の支援を受けながら、成長してきました。

2013年に米国各地で発売され、2016年5月には高級スーパーの食料品店の食肉コーナーで初めて植物由来のハンバーガーを販売し始めました。

ナスダックへ上場

ビヨンド・ミートは2019年5月にアメリカナスダック(NASDAQ)市場に新規上場しました。

ナスダックとはアメリカのベンチャー企業向けの株式市場です。

ベンチャー企業は、既存企業にはない新しい要素がある中小企業のことです。

ナスダックは、1971年に開始されてから、ベンチャー企業向けの株式市場としては世界最大となっています。

開始当初は世界初の電子株式市場として注目を集めていました。

ビヨンド・ミートに25ドルに設定された新規株式公開株価は、3倍近くの65.75ドルにまで上がって取引を終えました。

植物由来食品に対する投資家の関心と期待の高さが現れた結果であることがわかります

出資元はどこ?

ビヨンド・ミートは、ビル・ゲイツ、ツイッターの共同創業者のビズ・ストーン、俳優レオナルド・ディカプリオなど多くの著名人より投資されています。

本当においしい肉の代替品が誕生することは、世界の肉産業に大きな革命を起こすと将来に期待しているからこその投資なのです。

ビヨンド・ミート(代替肉)が注目される背景

人口増加による食糧不足

肉の需要は人口の増加とともに増えると予測されています。

世界の人口は2050年には97億人まで増えると推測されており、世界の肉の消費はそれに伴い2030年から2050年の間に20%拡大すると見込まれています。

しかし、家畜の地球環境に与える問題を考えたら、肉は限りなく提供できるものではありません。

農耕地の面積も人口増加に伴い少なくなっていくため、食料需要に余裕がなくなる可能性があります。

ヴィーガンやベジタリアンでも食べれる

ビヨンド・ミートは、ヴィーガンやベジタリアンが食べることのできる植物由来の食品として、最もよく知られている注目企業です。

ヴィーガン・ベジタリアン専用情報サイトにもビヨンド・ミートの記事が載っています。

ヴィーガンとは、「徹底した菜食主義(あるいは菜食主義者)」のことで、肉や魚、卵、乳製品など動物由来の食材を摂取しない特徴があり、下記の3つのタイプに分けられます。

  • エシカル・ヴィーガン…動物を食べることを拒むタイプ
  • ダイエタリー・ヴィーガン…健康を重視するタイプ
  • エンバイロメンタル・ヴィーガン…環境保全を重視するタイプ

ベジタリアンとの違いは、卵や乳製品などの動物性食品を食べるか否かにあります。

ビヨンド・ミートの創業者イーサン・ブラウンはエンバイロメンタル・ヴィーガンの一人です。

肉の生産過程における環境問題の解決

ビヨンド・ミートは植物から作られる肉の製造を行っているため、肉の生産により生じる環境への負担は少ないです。

では、肉の生産の何が環境に影響を与えるのかというと、肉を加工する工程よりも、畜産に問題があります。

畜産には、森林伐採、糞尿を含んだ水質汚濁による周辺水域への被害、温室効果ガスの発生、悪臭、排泄物の置き場所、牧草地の表土露出、家畜の病気、寄生虫など様々な問題があります。

特に、温室効果ガスの一つであるメタンガスは牛のげっぷやおならから発生しており、農林水産省や環境省、農研機構が必死になって抑える方法を考えています。

ちなみに、国内では1435.6万トンのメタンガスが畜産から発生しており、この量は日本のメタンガス排出量の39.5%を占めています。

メタンガスは、二酸化炭素より発熱量が高いため、より地球温暖化を悪化させてしまいます。

ビヨンド・ミート創業者のイーサン・ブラウンは学生時代から環境問題に興味があり、ビヨンド・ミートを創業する前にも、再生可能エネルギー会社に勤めています。

イーサン・ブラウン氏は、いちはやく肉の生産が環境問題に大きく関わっていることに気づき、代替肉の開発を始め、ビヨンド・ミートを創業しました。

ビヨンド・ミートの購入方法

日本ではまだ購入できない

ビヨンド・ミートを購入したいという人は多いが、実際に日本ではまだ購入することができません。

日本企業の三井物産がビヨンド・ミートに出資を行っているため、日本への進出も実現するとみられていたが、2019年にビヨンド・ミートの日本進出計画は中止となりました。

しかし、アメリカではマクドナルドやコストコなど日本に進出している企業でビヨンド・ミートを取り扱っているため、いずれ日本でもビヨンド・ミートを購入することができるようになるかもしれません。

アメリカでの販売情報

小売店での購入

アメリカでは、コストコ、ウォルマート、ホールフーズなどで、ビヨンド・ミートを購入することが可能です。

アメリカではすでに2万店舗以上の小売店でビヨンド・ミート製品の購入ができるようになっています。

飲食店での購入

アメリカの、飲食店ではカールス・ジュニア、KFC、マクドナルドなどで提供をしています。

特にマクドナルドでは、2019年にビヨンドミートと連携することを発表し、今後、独自に代替肉の製造をビヨンドミートと共同開発するようです。

2020年11月には植物由来の代替え肉を使用した新しいハンバーガー「マックプラント」の発売計画も発表しています。

今後、マクドナルドだけでなく世界のファーストフードでも、従来の肉と代替肉を選択できる社会が来るのが待ち遠しいです。

ビヨンド・バーガーとは?

2016年5月から全米の食料品店の食肉コーナーで一般の肉と一緒に植物由来のハンバーガ「ビヨンド・バーガー」の販売を始めました。

いまでは、ビヨンド・ミートの主力商品となっています。

ビヨンド・バーガーには20グラムのたんぱく質が含まれており、大豆、グルテン、コレステロールがなく、普通のハンバーガーよりも脂肪分が少なくなっています。

しかし、通常のハンバーグ肉の5倍ものナトリウムを含んでいることから、栄養面のことを考えるとヘルシーフードではありません。

ビヨンド・ハンバーガーはピンク色の正肉のような状態から、加熱することで肉汁によるジューシーさと褐色への変化が特徴です。

2020年には新しく低脂肪パティと高脂肪パティの2種類を発表しました。

また、日本航空会社では、初となる機内食でビヨンドバーガーを提供するなど、現在かなり注目を集めている。

最後に

環境問題を考慮して開発されたビヨンド・ミートは人気も高く、今後もされに進化し注目を集めていくと考えられます。

このような商品が増えていけば、地球温暖化の進行を遅らせることができ、今後も住みやすい環境を保っていけると思います。

そのためにも、早くビヨンドミートのような製品が日本に進出し、スーパーやレストランなどで使用されることを楽しみにしています。

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