今回は食品ロスの原因から対策、環境への影響についてみていく。
食品ロスを減らすために私たちは何ができるのだろうか。
食品ロス(フードロス)とは何か
食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品のことだ。
大きく分けて企業から発生する食品ロスと、家庭から発生する食品ロスに分けられる。
例えば、スーパーのお惣菜の売れ残りや、家庭でご飯を作った際に作りすぎて食べきれない場合に廃棄される食品だ。
より食品ロス全体について詳しく知りたい方は、まずこちらの記事を参考にしてみてください。
近年、ニュースでも取り上げられることの多い食品ロス(フードロス)問題。 実は30年前からメディアで問題提起されています。 一体なにが問題となっているのでしょうか。 日本の食品ロス状況、対策などを詳しく解説していきます。 […]
企業における食品ロスの原因
企業から出る食品ロスは、卸業や小売業で発生する売れ残りや賞味期限切れ、食品製造業で発生するパッケージの規格外や印字ミス、外食産業で発生する仕込みすぎや食べ残しなどがある。
さらに、食品業界の商習慣が企業から出る食品ロスを増やす原因に大きく関係する。
例えば、「3分の1ルール」がある。
賞味期限が3ヵ月である商品は、1ヵ月目に小売店や卸業に納品しなければならない。
つまり、1ヵ月過ぎてしまった商品は廃棄され食品ロスとなってしまう。
家庭における食品ロスの原因
家庭における食品ロスは料理をする際に食べれる部分まで切り落としてしまう過剰除去や、作り過ぎによる食べ残し、期限切れによる直接廃棄が原因となっている。
世界の食品ロスにおける目標
世界の食品ロス量
世界全体での食品廃棄量は13億トンと言われている。
なんと生産量の3分の1が廃棄されているのだ。
一方で、世界の77億人中の9人に1人と言える、約8億2,100万人が飢餓に苦しんでいる。
これは先進国と発展途上国で食の不均衡が起きている証拠である。
財力のある先進国では食品の需要と供給が見込まれているため食品が集中するが、家庭や飲食店、スーパーマーケットでは食品が余っている。
このような食品ロスは世界的に問題視され、2015年に採択されたSGDsの目標では食品ロス削減があげられている。
SGDsとは
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」という意味だ。
SGDsには、2016年から2030年の15年間に持続可能でよりよい世界を目指すため、17の目標と、目標を達成するための169ターゲットが掲げられている。
その中で、目標12「つくる責任、つかう責任」には11個のターゲットが掲げられており、「持続可能な生産消費形態を確保する」をテーマとしている。
ターゲット12.3は「2030年までに小売・消費レベルにおける背か全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」と、食品ロス問題の解決を目指している。
日本の食品ロスの現状
世界的に問題となる食品ロスだが、日本では年間に約2,531万トンの食品廃棄物が出ており、その中の643万トンが食品ロスに相当する。
この食品ロス量は国民1人1人毎日お茶碗1杯分の食品ロスを出しているということになる。
また、企業から出る食品ロスの量は年間に約352万トン、家庭から出ている食品ロスは年間に約291万トンだ。
食品ロスというと、企業から出る量が圧倒的に多いイメージだが、家庭から出る食品ロス量は全体の約45%とほぼ半分近くを占めている。
食品ロスがもたらす環境問題
廃棄する食品を焼却する際に排出される二酸化炭素や、埋め立てで処分する際に発生するメタンガスは、地球温暖化を加速させる。
二酸化炭素やメタンガスは温室効果ガスといい、地球を住みやすい環境に保つになくてはならないものだ。
しかし空気中の量が増えすぎると、気温が上昇し、氷河が溶け海面が上昇したり、異常気象を起こす。
これが地球温暖化問題だ。
埋め立ての際に発生するメタンガスは二酸化炭素の約25倍もの温室効果があり、より地球温暖化を悪化させる。
日本は焼却処理を行っているが、世界は埋め立て処理を行っているため、温室効果ガス排出量世界1位は中国、2位はアメリカとなっている。
中国では2021年4月に、食べ残しを禁止する法律が可決され、アメリカでも2030年までに食品ロス量を50%削減させる計画を発表している。
日本の食品ロス削減のための法律
日本では、令和元年10月より「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行された。
この法律では、食品ロスを削減するための基本的な視点とし、国や地方公共団体、事業者などへまだ食べることのできる食品が廃棄されないよう、責務が明らかにされている。
わたしたち個人ができる食品ロス対策
日本の食品ロスを減らすために私たちができることは、私たちの家庭から出る食品ロスを減らすことである。
そのためには、家庭から出る食品ロスを減らすためには、毎日の心がけが大切だ。
生活するなかで食品を無駄にしないことを意識し、工夫すれば、私たちの家庭から出る食品ロスの量は減ってくるだろう。
買う
まず買い物をする前に、冷蔵庫の中身など家にある食材を把握しておくことは、無駄に食材を買わないようにするために大切なことだ。
さらに、使う分だけを買うことを意識し賞味期限と献立を考えて買い物をすると、無駄のない賢い買い物ができるだろう。
作る
実際に料理を作るときは、冷蔵庫に残っている古い食材から使うように意識することがまず大切だ。
そして、きちんと食べきれる量を考えて調理することは、食べ残し予防になるだけでなく、食べすぎによる健康問題の改善にもなる。
もし、残ってしまった料理があったら、リメイクをすると違ったおいしさが味わえる。
例えば、カレーライスをリメイクした経験がある方も多いだろう。
カレーうどんや、カレードリア、カレーコロッケなど違った料理を作ることができる為、飽きることなく料理を食べきることができる。
保存
食材それぞれに適切な保存方法を行えば、保存期間を長くすることができる。
例えば、家庭で出ている食品ロス量で一番多い野菜の保存は、育った環境に近い環境で保存すると新鮮に食べられる期間が長くなる。
野菜の種類によって、適切な保存場所や温度、下処理の仕方が違うので常備している野菜などよく使う野菜の保存方法を確認してみるといいだろう。
食品ロス削減サービス
深刻化している食品ロス問題の対策の一つとして、フードシェアリングサービスが増えてきている。
フードシェアリングサービスとは、飲食店や卸業社の廃棄されてしまう食品を売りたい気持ちと、消費者のニーズをマッチングさせるサービスのことだ。
食品ロス削減のためだけではなく、私たちの生活にとって便利なサービスだ。
フードシェアリングサービス
近年食品ロスを減らす対策としてフードシェアリングサービスのアプリやショッピングサイトが増えてきている。
飲食店で余った料理をテイクアウトできる「TABETE」は、アプリで料理を選び、店舗で商品を受け取ることのできるサービスだ。
料理をする手間が省けるため、一人暮らしをする学生や、忙しい社会人に人気のサービスである。
また、「NOFOODLOSS」のような、コンビニや百貨店で賞味期限間近な商品のクーポンを配信するサービスを行っているアプリもある。
さらに、食品ロスを減らすために、本来廃棄予定の商品をお得に販売するショッピングサイトが増えてきている。
中には社会貢献型ショッピングサイトもあり、売り上げの一部を社会貢献団体に寄付しているサイトもある。
販売している商品はサイトによって様々だが、食料品から日用品などあらゆる商品を扱っているサイトもあれば、食品に特化しているサイトもある。
Amazonや豊洲市場など、私たちがよく知っている大型のショッピングサイトでも食品ロス対策でフードシェアリングサービスを行っているため、ぜひ一度試しに利用してほしい。
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まとめ
食品ロスは環境破壊までも発展する世界的に深刻な問題だ。
しかし、私たちが少し日々の生活で意識したり、工夫するだけで食品ロスは減らすことができる。
また、新型コロナウイルスでお家時間を勧めるなか、外食が減り食材が余るなどで困っている飲食店が増えたことだろう。
家でテイクアウトや惣菜を買って食べる機会があったら、ぜひフードシェアリングサービスを利用してみてほしい。
できるだけ多くの人に食品ロス問題のことを知っていただき、少しでも早くこの問題を解決していきたいと思う。