フードテック(FoodTech)という言葉をご存じでしょうか?
フードテック(FoodTech)とは、Food Technologyの略で、最先端技術を利用することで食品の可能性を広げていくことです。
最近では、金融テック(FinTech)や教育テック(EdTech)等の様々な業界で最先端技術を活用して新たな価値や仕組みを生み出されています。
今回はこの「フードテック」に焦点をおいて、注目のフードテック企業とフードテックの活用例をご紹介していきたいと思います!!
フードテックにおける主なトピック
まず初めにフードテックにおけるトピックを4つご紹介します。
- 代替プロテイン
- キッチンOS
- フードロボ
- 新・デリバリーサービス
上記4つトピックに関して、1つずつ紹介していきたいと思います。
代替プロテイン
1つ目に代替プロテインについて説明します。
代替プロテインとは、動物性食品の代わりに植物性の原料等を使用して作られたタンパク質のことです。
では、なぜタンパク質を動物性食品ではなくその他の原料を使って作ろうとしたのだろうか?
それは、全世界の人口増加に伴い、タンパク質の供給が不足する可能性があるためです。
現在、全世界の人口は増加傾向にあり、2021年時点で約76億人、2050年には約100億人になるといわれています。このように人口が増加することで当然食料の必要量も増加することになります。
現状の農業や家畜の在り方の状態の場合、2025年~2030年の期間にタンパク質の供給が不足するといわれています。
このようなタンパク質の供給不足を解決するための方法の1つが「代替プロテイン」です。
また、代替プロテインは家畜産業で排出されていた温室効果ガスの排出量を削減も可能です。
キッチンOS
2つ目にキッチンOSについて説明します。
キッチンOSとは、調理家電がIoT化してくると同時に生まれた概念です。
パソコンのMacOSやWindows、スマホのiOSやAndoroidと同様で、料理レシピやその調理の工程など、キッチン周りのアプリケーションが幅広く動くデータ基板のようなモノです。
例えば、スマホのアプリにあるレシピを、Bluetoothでつながった調理家電に読み込ませ、指示通りに調理させることができます。
このように、キッチンOSにはユーザーのプロフィール、調理実績、購買実績といった膨大なデータが蓄積されるため、このプラットフォームを展開するスタートアップは、「食領域のGAFA」と呼ばれている。
コロナ禍になり自宅で料理をする機会が増えたことで、キッチンOSの需要は高まっています。
フードロボ
3つ目はフードロボについて説明します。
フードロボは、食品工場やセントラルキッチン等で使用されており、調理や食器洗い等を行うロボットのことです。
特に飲食業界は人手不足と長年いわれており、その問題を解消する手段の1つにフードロボがあげられます。また、コロナ禍時代において飲食店では感染リスク軽減の課題もあります。
それに関してもフードロボを使用することで従業員と利用客の直接やり取りをなくし、「非接触・非対面」を実現可能です。
上述の通り、今までの課題だけでなくコロナ禍で発生した課題に対しても解決策の1つとなりえるのがフードロボです。
新・デリバリーサービス
最後にデリバリーサービスについて説明します。
デリバリーサービスは、その名の通り、料理を配達するサービスです。
近年、UberEatsをはじめとしたデリバリーサービスが普及してきています。
デリバリサービスを利用する背景として下記の3つが挙げられます。
- 共働き世代の増加に伴う「家事」のアウトソース
- 注文から決済までをスマホで完結可能なプラットフォームの定着
- 家族や友人と集まった時に好きな食事を気兼ねなく楽しめる
また、コロナ禍により飲食店の営業時間短縮になったこともデリバリーサービスの需要が高まっている要因の1つともいえます。
注目のフードテック企業一覧
上述では、フードテックにおけるトピックについて説明しました。
ここからは、それぞれのトピックごとに注目企業を紹介していきます
代替プロテイン
代替プロテインに関して注目の企業を2つ紹介したいと思います。
- インポッシブルフーズ
- ビヨンド・ミート
インポッシブルフーズ
インポッシブルフーズは、アメリカのカルフォルニア州に本部を置く企業で、2011年に創立されました。
主に植物由来の人工肉や乳製品を開発・製造しており、主製品は「インポッシブル・バーガー」です。
このハンバーガーに使用されている肉は、オーガニック食材が多く使用されおり、他の代替プロティンと比べると栄養価が高いと言われています。
また、インポッシブルフーズの肉は通常のハンバーガーに使用されている牛肉と比べても見た目、味、食感、香りどれも遜色なく、本物に近い肉を再現しています。
ビヨンド・ミート
ビヨンド・ミートは、アメリカのカルフォルニア州に本部を置く企業で、2009年に創立されました。2019年には代替肉ブランドとしては初の上場(NASDAQ)もしています。
主に植物由来のタンパク質をもとに代替肉を開発・製造しています。
ビヨンド・ミート社の主製品は、「ビヨンドバーガー」です。
このビヨンドバーガーに使用されている肉は植物由来の代替肉を使用しています。
エンドウ豆を主原料として食感を再現し、カカオバターやココナッツオイル等を使用して脂身の部分を再現しています。
また、ビヨンド・ミートの肉は「初めて米国の大手スーパーの生肉コーナーに陳列された代替肉」ということでも有名です。
キッチンOS
キッチンOSに関して注目の企業を2つ紹介します。
- innit
- シャープ(COCORO KITCHEN)
innit
innitは、キッチンOSを主導するスタートアップ企業です。
innitの専用アプリでは下記のことが可能です。
- 食に関する情報(好み/アレルギー/ビーガン/保有食材/保有家電)を入力
- 入力されたデータを基に、ユーザに合ったレシピをアプリで提案
- 提案されたレシピに必要な食材をECサイトから取り寄せも可能
- 提案されたレシピ情報を基に、IoT家電と連携して調理
このようにinnitでは、ユーザ一人ひとりにパーソナライズ化されたレシピを提供するだけでなく、実際の食事をするまでの工程(メニュー決め→食材調達→料理)の全てをサポートしています。
シャープ(COCORO KITCHEN)
シャープのCOCORO KITCHENは、冷蔵庫やオーブンレンジ、ホットクック等の家電をインターネットで繋げて連携するクラウドサービスです。
このサービスは、メニュー提案→食材調達→料理までのサポートはもちろんのこと、下記のメリットもあります。
- ①毎日の献立決めのサポート
- クラウド上にレシピが追加されるため料理のレパートリーが増える
- 外出先でオーブンレンジやホットクックに連携してレシピ送信や調理予約時間の変更も可能
- 使用するほどにAIが家族の嗜好等を学習して、メニューや役立つ情報を提案
このように家電をインターネットで連携させることで、より簡単で健康的な食事を楽しめるようになります。
フードロボット
フードロボットに関して注目の企業を2つ紹介します。
- QBIT
- CREATOR
QBIT
QBITはロボットの開発・製造をしている企業です。
ロボットアームを初め、配送・配膳ロボットも製造しています。
今回ご紹介するロボットは「自動搬送ロボット」です。
二子玉川に店舗を置く「THE GALLEY SEAFOOD & GRIL」がオープンすることになり、その際に使用されたロボットがQBITのロボットです。
このロボットは利用客がオーダーしたサラダをロボットが席まで搬送する。
これにより、利用客は従業員との接触なしで注文可能です。
この「自動搬送ロボット」において今回は飲食店での活用例を紹介しましたが、配送の観点で考えた場合、他にも様々な活用方法がありそうです。
CREATOR
CREATORは、サンフランシスコにハンバーガーの店舗を出している企業です。
この店舗で使用されているロボットは、ハンバーガーの調理工程を自動化したロボットです。
店員が利用客からオーダーを取りモバイル端末で処理すると、ロボットがハンバーガーを自動で調理します。
注文から完成まで約10分と時間の短縮になり、顧客の注文に応じて材料の選択も可能と自由度が高いです。
しかし、調理に必要な材料の補充など完全にロボットに置き換えることは難しいようです。
CREATORは、利用客へのアンケートの結果をもとに日々改善しているため、今後の「未来のハンバーガーレストラン」に注目していきたいですね。
<h3>>新・デリバリーサービス
デリバリーサービスにおいて注目の企業を2つ紹介します。
- UberEats
- Wolt
UberEats
UberEatsはご存じの方も多いと思いますがUberが運営しているデリバリーサービスです。
ピザの宅配等の直営店のデリバリーサービスとは異なり、Uberはデリバリーのみを専門に扱います。
UberEatsの特徴は「GPSで配達状況が把握できること」です。
アプリの画面上に地図が表示され、配達員の状況を知ることが可能です。
また、配達員にメッセージを送れるため、もし配達員が間違った方向に進んでいる場合は正確な場所を伝えられます。
また、昨今は副業として「UberEatsの配達員」を始める人も増えています。
その背景としては、シフト制のため空いている時間で働くことができる点があげられます。
UberEatsの需要は今後も高まってくる一方、UberEatsの配達員として働く方も増えていくことを考えると今後も注目していきたい企業の1つです。
Wolt (ウォルト)
Woltはフィンランド発祥のフードデリバリーサービスです。
Woltの特徴は「充実したサポート体制」です。サポート体制を充実させることで利用者は安心してサービスを受けられます。
特にデリバリーサービスは飲食店、配送者、利用者間でのトラブルが発生しやすいです。
例えば、商品を利用者に届けた際に中身ぐちゃぐちゃになってしまう等があります。このようなトラブルが起こった場合でもWoltであれば、注文者や配達員に向けてそれぞれ専属のサポート体制が用意されており、配達中のトラブルは1分以内に反応をしてくれます。
このように利用者が安心できるサービスを提供しているWoltが、今後UberEats等の飲食業界でどこまで業績を伸ばしていくかは注目です。