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【2021年版】フードテック(FOOD TECH)とは|これ一本で全て分かる!

フードテック(Food Tech)とは、食とITが融合することを意味します。

近年では食料品だけでなく、生産から加工、流通面や購買活動など食にまつわる様々な面に、IT技術が活用されています。

また、IoTやAIを活用したスマート農業やスマートキッチンの誕生により、生産性の向上やフードロスなどの問題解決につながり、フードテックの活用の範囲が広がっています。

今回は、フードテックが注目される背景や最前線で活躍する企業、サービスなど、この記事一本で分かるようにまとめて解説したいと思います。

フードテック(Food Tech)とは

フードテック(Food Tech)とは、「食」と「IT」が融合することすることで、食に関する新しい価値を実現することを意味します。

近年よく耳にするX-Techの一つで、食とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。

また、アメリカのFoaward Foodingによると、フードテックとは「テクノロジーを駆使して、食品のデザイン・生産・選択・配達・消費における効率性や持続可能性の改善を目指す事業セクター」と定義しています。

フードテックが注目される背景

食料問題とフードロス(食品ロス)

では、なぜ今フードテック(Food Tech)が注目されているのでしょうか。

フードテックが注目される理由の一つに、人類規模の食糧問題があります。

2018年の調査によると、世界の飢餓人口は8億2000万人以上で、9人に1人が飢餓に直面している状態で、食糧が不足しています。

一方で、日本の廃棄食料は年間約 2000万トンといわれています。これは、途上国に住む人々5000万人分の、1 年分の食糧にあたります。

また、国際連合食糧農業機関(FAO)によると、農業生産から消費に至るフードサプライチェーン全体で、食料の約1/3が捨てられ、その量は1年あたり約13億トンに上ります。

フードテックが注目を集めている理由としては、AIやIoTなどのデジタル技術を活用して、これらの食品ロスの問題の解決や、代替食品としての「昆虫食」や「代替タンパク質」などといった新たな食糧供給によって、人類規模である食料問題を解決の可能性を秘めていることがあげられます。

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生産性の向上

日本では少子化に伴う人口減少が年々加速しており、労働力の不足が近年深刻になっています。

そこで、各業界においてAIやロボットを活用することで、生産性を向上させる動きが活発化しており、生産性の観点からもフードテックは注目されています。

アメリカでは既に、2015年から無人のレストランが誕生していたり、2016年にはAmazon GOといった無人のスーパーも誕生しています。

このように今まで人間が行っていたことを、ロボットや技術に代替させることで生産性を向上させることが可能になります。

フードテックの市場規模

世界におけるフードテック市場規模は、700兆円とも呼ばれています。

またカンファレンスやサミットの開催、情報発信や開発を目的としたコミュニティの形成なども2015年頃から増え続けています。

マイクロソフトのビル・ゲイツ氏も培養肉のスタートアップなどに投資を行っていたり、米GoogleがハンバーガーロボットのCreatorに出資したりなど、世界的に積極的な投資が行われています。

上記から、今後も積極的な投資活動や市場規模の拡大トレンドは続いていくと考えられます。

フードテック(Food Tech)市場規模のグラフの画像
※Source: PitchBookを基に編集部で作成

フードテックを種類別に解説

代替食品

代替タンパク質

代替タンパク質(代替プロテイン)とは、動物性食品から得られるタンパク質の代わりに植物性の原料などを使用して作られる食材のことをいいます。

代替タンパク質が注目されている要因の一つに、人工爆発があります。

現在、地球上には77億人が生活をしていますが、2050年には世界人口で97億人に達するという国際連合の予測があります。

そのため、今後の人工増に伴う需要の増加に対して、食肉供給を支えている畜産の供給が追いつかなくなるとされています。

これらの背景から、畜産などの動物性タンパク質に頼ることなく、代替タンパク質である新しい食品の普及を目指し、世界各国から多くのスタートアップが誕生しています。

代替プロテインのカオスマップの画像
代替プロテインカオスマップ

代替肉・培養肉・合成肉

代替プロテインの一つに、代替肉があります。

代替肉は、大豆を使用して本物の肉と同じ食感を作り出したり、肉そのもの再生技術を利用して、筋肉細胞を培養して作られる「培養肉(合成肉)」など、様々な形で誕生しています。

また、特にこの培養肉のことを世界的には「クリーンミート」と呼ばれることが多いです。

例えば、培養肉のトップランナーともいえるビヨンドミートでは、肉すべての構成要素を分子レベルで洗い出し、エンドウ豆やココナッツオイルなどの素材で代替することで、元の肉と分子レベルでは遜色ないレベルで代替しています。

代替肉の作り方の画像
ビヨンド・ミート会社資料より
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完全食

近年、フードテックの領域で注目を集めている一つに完全食があります。

完全食自体は古くからあり、卵や玄米など、ひとつの食品でバランスよく栄養素が取得できるものを完全栄養食と呼んでいました。

しかし現代では、一般的に、公的機関が策定した食事摂取基準に基づき、1食に必要な栄養素がすべて必要量以上含まれる食品のことを、完全栄養食と呼んでいます。

日本発の完全食としては、「COMP」という商品があります。

COMPには、ヒトの健康に欠かせない必須栄養素(必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維)が配合されています。

こちらは、厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準に基づいて開発されており、必須栄養素を過不足なく取得できる商品となっています。

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フードテック-物流

流通ITプラットフォーム

今までは、製造者から消費者の手元に渡るまでには、卸業者や小売業者を介することが一般的でした。

しかし現代では、IT技術の発達からAmazonなどのオンラインショッピングプラットフォームや、自社でECサイトを持ち製造者から直接消費者へ届けるD2Cなど様々な流通の形が誕生しています。

またこれらの発達により、今まで流通業者が取り扱うことが難しかったマイナーな商品も販促が可能となり、消費者がより自身の趣向に合わせた商品を選択できるようになりました。

鮮度維持・可視化

フードテック流通の画像
「SFC構想研究会」プレスリリースより抜粋

食品ロス削減に向けて、IoTを利用した食の鮮度予測・可視化システムが活用されています。

例えば日本では、イトーヨーカ堂、伊藤忠インタラクティブ、凸版印刷、日本総合研究所、三井化学などが「SFC構想研究会」の活動の一環として食品ロスのための実証実験を行っています。

この実験では、産地から消費者までのフードチェーン上での食品情報の個体別の追跡管理、鮮度の見える化などを行うことで、フードチェーン全体のにおける特定の課題を見える化することが可能となります。

フードテック-調理

キッチンOS

キッチンOSとは、今まで独立していた「買い物」「レシピ」「調理」というプロセスを、データで繋ぐことで一貫させるプラットフォームのことです。

例えば、レシピ本で「焦げ目がつくまで中火で」「塩を少々」などの表現を目にしますが、これらの表現は主観的であり、レシピ本通りに作ったとしても味にばらつきが出てしまいます。

そこでキッチンOSは、アプリ上でメニューを選択するとアプリと調理家電がIoTによって連携し、オーブンの予熱や食材を入れるタイミングなど、アプリが調理方法を案内してくれるようになります。

さらに、今まで取得できていなかった家庭内の調理における行動データを取得でき、この行動データによって更に個別のニーズを満たす商品が生まれる可能性を秘めています。

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食品の購買活動

新・デリバリーサービス

近年の消費者行動において、大衆的に最も変化があったのは、UberEatsや出前館などの「新・デリバリーサービス」ともいえるプラットフォームの登場ではないでしょうか。

今まで、いわゆる出前は、飲食店側が配達員を用意し、店舗独自のサービスとしての形が一般的でした。

しかし近年では、飲食店等以外のプラットフォーム事業者が、飲食店を集めて注文を取り次ぐサービス(マーケットプレイス型)や、注文の取り次ぎに加えて配達も代行するサービス(注文・配達代行型)が提供されています。

消費者側のメリットとしては、多様な飲食店から注文を選択できる点。AIの導入により、配達時間の短縮化や配達状況をリアルタイムで確認できることなどが挙げられます。

また、飲食店側のメリットとしては、新規顧客開拓や、コロナウイルスの影響で需要が高まった内食需要に対するアプローチなどが挙げられます。

ゴーストキッチン

新・デリバリーサービスを更に加速させたのがゴーストキッチンと呼ばれるものです。

UberEatsや出前館といったプラットフォーム事業者の発達により、飲食店も今までの概念に捉われない「デリバリー専門の飲食店」が登場するようになりました。

これらのデリバリー専門の飲食店を束ねて調理を担うのが、ゴーストキッチンです。

ゴーストキッチンの店舗には、消費者の入店はなく、各レストランのシェフが共通のキッチンで料理し、フードデリバリー事業者の配達員に出来上がった食事を配達してもらう仕組みとなっています。

これは、デリバリー事業者にとっては、各レストランを回る必要がなく、配達時間の削減やコストの削減にもつながっています。

また、ウーバーテクノロジーズ元CEOがこうしたゴーストキッチンの運営企業に多額の出資を行ったことで、米国で注目を集めた背景があります。

日本においては、セブン&アイ・フードシステムズが自前のデリバリー専門のキッチンを解説したことでも話題になりました。

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自動販売機3.0

日本自動販機工業会の発表によると、日本国内における清涼飲料の自動販売機は210万台と、一人当たりの普及率では世界一の数値を誇っています。

これらの自動販売機で販売されているものは、ペットボトルに入った飲料などが一般的でした。

しかし、自動販売機も新技術によって、姿を変貌させています。

それが、自動販売機3.0ともいえる新潮流になります。

自動販売機3.0とは、「箱型料理ロボット」「移動型レストラン」とも呼ばれており、今までのように製造済みの商品を販売するのではなく、ロボットが販売機の中で人を介さず調理を行い、購入者のもとへ出来立ての料理が提供されるサービスになります。

例えば、台湾出身の創業者が提供する「Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)」は、ラーメンやフォーを販売機内で調理し、注文から45秒で出来立ての麺料理を提供します。

このような新しい形の自動販売機によって、食事環境が少ない場所でも出来立ての料理を提供することができるようになります。

D2Cーサブスク食品

ECサイトの簡略化や物流ロジスティックの普及により、卸や小売点を通さずにメーカーから消費者へ直接販売することができるようになりました。

これによって、仲介業者を通す必要がなくなるためメーカーの利益率が向上し、質の高い食品を低価格で届けることができるようになります

また、食品業界でも消費者へ定期的に商品を届けることを前提としたサブスクリプションサービスなど、様々な形でD2Cが広がりつつあります。

また、このD2Cサブスク食品についてはこちらの記事でまとめているのでぜひ参考にしてみてください。

今、注目のフードテック企業

海外のフードテック企業

インポッシブルフーズ

インポッシブルフーズは、肉と同じ、またはそれ以上の美味しさを追求し、植物性の代替肉を使用したハンバーガーを提供しています。

インポッシブルフーズによると、人間に「肉」と認知させるために重要となってくるのが「ヘム」と呼ばれる化合物になります。

インポッシブルフーズの特徴としては、とにかく美味しさを追求していることです。

ただ加工レベルで肉の風味に寄せるのではなく、生物学視点な研究から「人間がどのように肉と認知し、何を美味しいと感じるのか」を明らかにすることで、本物の肉より美味しい代替肉を追求しています。

また、インポッシブルフーズは資金調達を活発的に行っており、2020年8月に2億ドルの資金を調達。また、Googleやビル・ゲイツ氏なども出資しており、これまでに調達した資金の総額は15億ドルと発表されています。

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インポッシブルフーズとはの画像

Innit(イニット)

Innit(イニット)は、キッチンOSを主導するスタートアップ企業です。

ユーザーがイニットのアプリで、食の好み、アレルギー、食材、家電などを入力し、作りたいメニューを選択すると、アプリが入力されたデータベースを基に、キッチン家電を制御するようになります。

例えば、加熱・予熱の時間やいつ食材を投入するべきかなど、アプリとキッチン家電が連動し、自動で家電が制御されるようになります。

このようにアプリを通し、調理家電をコントロールすることで、料理初心者でもプロのシェフと同じように調理することが可能になるのです。

日本国内のフードテック企業

クックパッド

日本国内で有名なクックパッドですが、料理レシピプラットフォームだけでなく、レシピと調理家電を繋ぐ「OiCy」というサービスも提供しています。

「Oicy」では、レシピと連動してキッチンデバイスを操作したり、火加減などの調理ログを記録することが可能です。

また、ユーザーが自分なりのアレンジ方法を、世界中に共有しあえるサービスとコミュニティも提供されいています。

フードテックジャパン

フードテックジャパンでは、日本国内におけるフードテックの展示会を運営しています。

出展テーマは、大きく2つに分けられ、「レストラン・キッチンテック」と「工場テック」を提供しています。

展示会では、フードテックにおける最先端の企業が出展しており、効率よく情報を取集することが可能です。また、今年第二回目の開催であるフードテックジャパンは、2021年10月13日〜15日にて予定されています。

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