昆虫食と聞いて、日本ではゲテモノとしてネガティブなイメージを持つ人が多いです。しかし現在世界的に昆虫食は大きな注目を集めています。
2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した報告書で、世界の人口増加で深刻な食糧危機が訪れると予測されました。それを受け各国で昆虫食を扱う企業が増えてきています。
急成長しているとはいえ、どれくらい企業があり、どんな活動をしているのかまだまだ知られていません。
ここでは、日本と世界の注目のベンチャー企業を紹介します。
今、世界中で急成長する市場でどのような昆虫食が研究開発されているかなど、その一端を知ることができます。
先進の企業の取り組みから、「昆虫食」へのイメージが変わるかもしれません。
昆虫食とは
昆虫食とは、昆虫を食べることです。
「ゲテモノ」「気持ち悪い」などのネガティブなイメージを持たれがちな昆虫食。
昨今、「食糧危機を救う」「スーパーフード」として世界中の企業が研究開発を進めています。
昆虫食は未来の持続可能な食習慣として注目を浴びています。この記事では、昆虫食がなぜ日本で注目されているのか、優れた環境性や食糧供給の安定性などのメリットを探求します。 昆虫食とは何か? 昆虫食とは、昆虫を食材として利用する食習慣のことで[…]
日本の昆虫食企業
昆虫食の専門メディア「BUGS GROOVE」によると、2019年現在、日本の昆虫食企業の数はアメリカに次ぐ2番目です。
日本の昆虫食企業は、世界的にみると創業も比較的最近のスタートアップが多く急成長市場といえます。
取り扱っている製品もデザイン性が高く、消費者のネガティブなイメージを変える一助にもなっています。
企業ごとに、養殖・製造加工・販売など取り組む業種の違いがありますので、下記にまとめました。
養殖 | 製造加工 | 販売 | |
---|---|---|---|
TAKEO | 〇 | 〇 | 〇 |
BugMo | 〇 | 〇 | |
昆虫食のentomo | 〇 | 〇 | |
Ellie | 〇 | 〇 | |
FUTURENAUT | |||
株式会社MNH | 〇 | 〇 | |
ODD FUTURE | |||
GRYLLUS | 〇 | 〇 | 〇 |
BugsFarm | 〇 | 〇 | |
Bugoom |
ここからは、上記日本の昆虫食企業10社をそれぞれ紹介していきます。
TAKEO
2014年創業の日本を代表する企業です。東京が事業拠点で、昆虫食の開発・製造から、輸入、卸売り、通販と、実店舗もあります。
店舗では「コオロギもなか」「タガメサイダー」などユニークな商品が楽しめ、マニアや話題好きの方から支持を得ています。
コオロギの煮干しなど、業界を先駆けた商品が話題です。
BugMo
BugMoは、コオロギを使った養殖システムの設計開発、エコシステムの提案、商品の研究開発をプロジェクトとした京都の新鋭の企業です。
「誰もが自分の体も、心も、人生も満たすことができる“生きるためのおいしさ”を生み出す」をコンセプトに、自然との繋がりを味わう”生きるためのおいしさ”を追求した「こおろぎだし」を製造・販売しています。
昆虫食のentomo
㈱昆虫食のentomo は、創業時より「昆虫食は古代から来た未来食」というキャッチフレーズを掲げた昆虫食を扱う企業です。
現代の最新技術により、昆虫食を伝統食から未来食にアップデートし、昆虫食文化が再び広く根付くことを目標にしています。
また、2030年までに日本の一般の量販店やスーパー、コンビニでも昆虫由来の製品が広く販売されることを目指しています。
大正時代の昆虫学者・三宅恒方による全国的な昆虫食に関する調査書や、昭和初期の日本の薬用昆虫の最重要文献である『昆虫本草』の現代語訳版を出版し、昆虫食文化の普及に熱い企業です。
Ellie
蚕の食品価値を最大化するべく、大学と連携して研究開発をしている2018年創業の注目のスタートアップ企業です。
蚕の幼虫や蛹を加工したシルクフードを展開し、カイコのプロテイン配合のチップスやスムージーを販売しています。
FUTURENAUT
高崎経済大学発の昆虫食の若きベンチャー企業です。
「美味しく、おしゃれに」をテーマにコオロギパウダーをつかった製品の製造販売を行なっています。
敷島製パン(Pasco)との業務提携でコラボ製品「フィナンシェ」と「バゲット」をリリースするなど、若い目線で代替タンパク質からの認知を広げ、安定的な市場流通を目指しています。
株式会社MNH
お菓子を中心とした食品製造メーカー。2017年からコオロギに特化したお菓子とおつまみを製造しているパイオニアブランドです。コオロギスナックはAmazonでも手頃に買えて、好評です。
ODD FUTURE
2020年創業の若きフードテック企業です。コオロギを使ったブランド「INNOCECT」でパウダーやプロテインを展開。商品パッケージがスタイリッシュで、これから市場の拡大が期待されます。
GRYLLUS
最先端のバイオサイエンステクノロジーを利用して、コオロギの利用が生活の中で当たり前になる未来を目指している徳島大学発のフードテックベンチャー企業です。
BugsFarm
世界の各種昆虫食の販売も行なっているので昆虫食ならココ。昆虫食の大手通販ショップです。
メーカーとの共同開発の「コオロギうどん」や「ダンゴムシパウダー」等、ユニークな商品も取り扱っているため、見ているだけでもおもしろく、昆虫食を身近に感じることができます。オンライン販売でキャンペーンやアウトレットなどを行っているので安く購入もできます。
Bugoom
昆虫食を販売している日本でも主力の企業ですが、厳密には日本サプリメントフーズ株式会社のひとつのブランドです。「健康」と「食の未来」に重点を置いたスタイリッシュな商品が多く、その種類も豊富です。コオロギうどんが人気商品。
世界の昆虫食企業
世界の昆虫食企業では、環境問題に積極的な欧米が特に多いようです。
ここではそのいくつかの企業をざっと紹介していきます。
EXO
アメリカ・ブラウン大学の学生2人が立ち上げた、最も知名度の高い昆虫食の企業のひとつです。主力製品は8種のフレーバーがあるコオロギプロテインバー、他にもパウダーや、グルテンフリーや乳製品を使わない製品も取り扱っています。1つのプロテインバーにはコオロギ25匹が使用され、アスリートなどからも好評です。
Eat Grub
コオロギフードを主に扱うイギリスのブランドです。ポテトチップスの代替としてコオロギチップスを勧めています。他にもパウダーや、食用のバッタ・ミールワームなどもあつかっています。
Six Food
アメリカのスタートアップ企業で、ハーバード大学の女子学生2人が2013年に創業しました。先駆けてコオロギの粉末を使用したチップスを販売しました。シーソルト・BBQ・チェダーチーズ味がありスナック感覚で食べやすいです。
ENTOMO FARMS
コオロギを主にした食品を製造販売するカナダのスタートアップ企業です。
パウダーやチップに加え、丸ごと焙煎したものなど、ペットフードや家畜・魚の養殖の飼料なども扱っています。
カナダとアメリカのオーガニックフードショップや、オンラインショップで販売されています。
JR UNIQUE(THAILAND UNIQUE)
昆虫食の盛んなタイの企業です。アジアは世界最大の昆虫食市場でもあり、2003年からと早くから昆虫食の普及を目指しています。
加工食品よりも、食用昆虫そのものを販売しています。他ではあまり見かけないサソリなどもあります。
CRITTER BITTER
「昆虫を食す」ことへの心理的なハードルを越えることをミッションにしている、ニューヨークのデザイナー2人が創業しました。
昆虫のパウダーをチップスなどに練りこんで加工するのではなく、コオロギから抽出したエッセンスを商品とした、ユニークな企業です。このエッセンスをカクテルに数滴加え、味を変化させたいときに、ちょうどいいようです。
SMALLGIANTS(旧Crické)
コオロギを原料にしたチップスを販売する、イギリスの企業です。社名がCrickéからSMALLGIANTSに変更されました。フレーバーも他と比べトマト&オレガノなどちょっとおしゃれですね。
まとめ
今回は国内外の昆虫食関連企業を17社紹介しました。
気になる企業や商品はありましたか?
大多数がコオロギを主力として様々な商品を開発している企業です。ほとんどがこの10年ほどで設立された企業で、商品などは少なくても注目の業界で若く急成長しています。これからもさらに新規参入が増え市場は拡大して行くでしょう。
企業の研究開発と消費者の認知・理解度が高まれば、コンビニや食卓で昆虫食の商品を見る機会も増えて、特異なことではなくなってくるでしょう。
各企業の成長と、市場規模の拡大にこれから目がはなせませんね。