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たんぱく質クライシスー食肉需要が増加していく世界で昆虫食のもつ可能性ー

たんぱく質クライシスー食肉需要が増加していく世界で昆虫食のもつ可能性ー

途上国を中心に予測される人口爆発。

2022年の世界人口は79億5400万人。そして、2050年頃には約100億人に到達するといわれている。

出典:United Nation, World Population Prospects 2015 revison

Searchingerら執筆した報告書によると、100億人社会での食料総消費量は現在のおよそ150%以上といわれており、テクノロジーの力で解決しようという動きが加速している。

農産物の場合は、品種改良や植物工場のような機械設備の開発、乾燥地帯の農地化などの開発が進められている。

このように農作物に関する研究開発は盛んだ。

一方で、問題視されているのがたんぱく質不足。

国連食糧農業機関(FAO)によると、家畜動物による温室効果ガス排出量は全体の14%を占め、自動車や飛行機などの交通機関に匹敵するといわれている。

出所:Rhodium Groupの報告書よりFoodTechHub編集部で作成

また、牧草地は地球の陸地総面積の23%を既に占め、飼育密度を上げての効率化は、大規模な疫病や倫理的な問題となり、これ以上の食肉生産量の増加は難しい。

漁業においては、近年アジア諸国の成長はもちろん、欧米でのアジアブームによる魚食文化の拡大に伴い、需要が爆増している。

遠い内陸部への供給は、エネルギー効率面から、内陸部における動物性たんぱく質の不足はより深刻だ。

このような状況下、新たなたんぱく源として注目されているのが昆虫食。

栄養化に優れており、途上国における未熟なインフラでも安価に生産できる可能性を秘めている。

昆虫食のなかでも特に注目されているコオロギの機能性をみていこう。

牛肉ではたんぱく質1kgの生産に10kgの飼料が必要なのに対し、昆虫はたったの1.7kgで済む。また、成長時の温室効果ガス排出量は牛肉と比べて28分の1と地球に優しい。

出典:エコロギー株式会社のホームページよりFoodTechHub編集部で作成

昆虫の可食部位の多さも魅力的だ。

牛の可食部位は全体の40%と大半が廃棄されているのに対し、コオロギの場合は約100%。さらに、乾燥重量の71%はタンパク質である。

ただし、乾燥重量あたりのタンパク質含有量の比較であれば、他の食肉も同等である。また、昆虫の場合、非タンパク質態窒素であるキチン質も多く含まれるため、定量法によっては昆虫のタンパク質含有量を過大評価している可能性があることに注意が必要だ。

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