昨今、少子高齢化に伴い様々な業界で人手不足となっており、特にコンビニ等の小売業界は深刻な人手不足となっています。
この人手不足を解消する方法としてデジタル技術を活用した「無人コンビニ」が今、注目を集めています。
この記事では、国内および海外の事例を交えつつ無人コンビニのメリット・デメリットを解説しています。
無人コンビニを始めようと思っている方や無人コンビニに興味がある方は是非参考にしてみてください。
無人コンビニとは
無人コンビニとは、セルフレジのような従業員が不在でも商品の精算が可能な仕組みを導入しているコンビニエンスストアを指します。
無人コンビニを最初に導入したのは米国にあるAmazonが運営する「Amazon go」です。
その後、各地で無人コンビニの導入が進んでいき、日本ではJR山手線の高輪ゲートウェイ駅で「TOUCH TO GO」という無人コンビニが2020年3月にオープンしています。
無人コンビニの仕組み
無人コンビニの仕組みは、以下の2つの種類があります。
- ウォークスルー型
- セルフレジ型
ウォークスルー型
ウォークスルー型は、出入口がゲート式になっています。
利用者が手に取った商品だけが出口に設置されたディスプレイで表示され、キャッシュレス決済をすることで出口のゲートがオープンされる仕組みです。
日本でも高輪ゲートウェイ駅にある「TOUCH TO GO」が、この仕組みを導入しています。
店内には複数のカメラやセンサーが設置されており、利用者が手に取った商品だけを認識して、決済時にディスプレイに自動で購入商品を表示してくれます。
バーコードの読み込みの必要がないため、会計に要する時間が短縮できます。
お昼休みなどの混み合う時間帯には最適な仕組みですね。
セルフレジ型
セルフレジ型は、コンビニだけでなくスーパーやホームセンター等でも見かけるセルフレジを導入しているコンビニです。
コンビニの利用者が商品購入時に、自身でセルフレジに商品バーコードを読み取らせ、現金やクレジットカード等で決済する方法です。
完全に無人化しているわけではなく、利用者が何か困ったことがあったときにすぐ対応できるよう従業員を1名常駐しているケースが多いです。
無人コンビニの設置方法
無人コンビニには、以下の2種類があります。
- 実店舗型:セルフレジを活用した無人コンビニ
- 設置型:オフィスや工場等に設置する無人コンビニ(オフィスグリコ等)
実店舗型
実店舗型は、無人コンビニの仕組みの1つであるセルフレジを導入しているコンビニを指します。
実店舗の例としては、セブンイレブンやローソン、米国でAmazonが展開している「Amazon Go」が該当します。
実店舗型の場合、会計に関する部分のみ無人化(セルフレジ)しており、その他の業務である品出しや案内といった業務は担当者が実施しているのが現状です。
設置型
設置型は、オフィスや工場等で完全に無人化して商品を販売するサービスです。
仕組みは、オフィスや工場等に専用のボックスや冷凍冷蔵庫を配置して、利用者が好みの商品を選び、代金を支払うサービスです。
上記の写真の場合、専用ボックスにお菓子類が入っておりその中からお好みの商品を選び、指定された場所に代金を投入することで購入できます。
商品の補充や代金回収については、決まった日時に補充担当者が訪れて実施しています。
設置型は、小腹が空いた際にすぐに購入できるのでコンビニに行く手間を省くことができます。
その一方、完全無人化ということで代金の入れ忘れが発生する可能性があるというリスクがあります。
無人コンビニのメリットデメリット
階層を追加していただいても結構です!
ここからは無人コンビニにおけるメリット・デメリットについて紹介します。
無人コンビニにするメリット
無人コンビニにするメリットは以下の通りです。
- 人手不足の解消およびコスト削減が可能
- 犯罪の抑制
- ウイルス感染リスクの低減
- 会計時間の短縮
人手不足の解消およびコスト削減が可能
昨今、深刻な問題となっているのが慢性的な人手不足です。
特にコンビニのような24時間営業をしている場合、一部の時間帯に勤務できる人が少なく、募集しても人が集まりにくい状況です。
無人コンビニは、セルフレジを導入することでレジ業務を自動化することができます。
そのため、従業員は他の業務に時間を充てることができ、少ない人材で対応ができます。
また、レジ業務の担当者を常駐させる必要がなくなることで採用や育成コストを抑えることができるのでコスト削減に繋がります。
このように無人化を進めることで、人手不足の解消とコスト削減が可能となります。
犯罪の抑制
無人化コンビニの中でも、ウォークスルー型を導入した場合、犯罪の抑制ができます。
ウォークスルー型の場合、利用者が手に取った商品だけを支払金額に加算するため、マイバックやポケットに入れても購入した商品という扱いになります。
お店の外に出るためには、支払金額を決済しないと出口のゲートが開かない仕組みになっているため、理論上は万引きすることができません。
従来は、声かけや監視カメラでの監視等をする必要がありましたが、無人化をすることで犯罪を抑制できることは、コンビニを経営する立場の方には嬉しいですね。
ウイルス感染リスクの低減
感染対策の1つとして、店舗では非接触型のサービス提供が強化されています。
無人コンビニでは、セルフレジやウォークスルー型のどちらも人との接触や会話をする必要がないため、接触感染のリスクを軽減することができます。
このように無人コンビニはウイルス対策にも有効です。
会計時間の短縮
無人コンビニの場合、基本的にキャッシュレス決済となります。
キャッシュレス決済では現金の受け渡し等が不要のため、従来よりも会計時間を短縮することができます。
ウォークスルー型の場合は、事前に登録したクレジットカードから自動決済されるため、会計自体が不要となります。
オフィス街にあるコンビニでは、お昼休み等の混んだ時間帯に会計待ちをせずにスムーズに買い物ができるのは利用者にとっても嬉しいですね。
無人コンビニにするデメリット
無人コンビニにするデメリットは以下の通りです。
- 無人化に伴う多額の初期費用が必要
- 設置型の場合、代金の支払忘れのリスク
無人化に伴う多額の初期費用が必要
無人コンビニを実施する場合、設備導入に高額なコストがかかります。
ウォークスルー型を例にすると、必要な設備としてはカメラやセンサー、ゲート、セルフレジのような設備に加え、商品を管理するRFタグも必要となります。
また、導入時以外にも設備のメンテナンス費用もかかります。
このように、コンビニの無人化は高い初期費用が必要になるため注意が必要です。
設置型の場合、代金の支払忘れのリスク
設置型の場合、利用者は専用のボックスや冷凍冷蔵庫からお好みの商品を選び、代金を指定された場所に投入することで商品を購入できます。
しかし、完全に無人化のため利用者が代金を支払わずに商品だけを持ち出してしまうケースがあります。
もし、代金回収時に商品在庫と代金が合わない場合、差額はサービスを契約している会社が代わりに支払うことになります。
上記のようなことが続く場合、会社から設置型サービスを解約される可能性があるため、注意が必要です。
無人コンビニの事例
ここからは無人コンビニに関する事例を紹介していきます。
海外の事例
海外の事例として、以下の3つがあります。
- AmazonGo
- Boingo Box
- Robomartプロジェクト
AmazonGO
AmazonGoは、Amazonが運営する2018年にシアトルで1号店をオープンした無人レジ店舗です。
仕組みは、以下の通りです。
- 事前にAmazonGoのアプリをスマホにインストール
- アプリに決済用クレジットカードを登録
- 入口にあるゲートにスマホアプリをタッチ(駅の改札のイメージ)
- 店内で好みの商品を選んで、そのままお店を出る
- 事前に登録されたクレジットカードで自動決済
AmazonGoの店舗では、入口のゲートにスマホアプリをタッチした人をカメラで追跡します。追跡された人は、誰がどの商品を取ったか、戻したかが識別されるようになっています。
AmazonGOは無人コンビニの先駆けとなっており、今では世界中で無人コンビニの開発が進んでいます。
Bingo Box
Bingo Boxは、中国のスタートアップ企業「Zhongshan BingoBox technology Co.(中山市賓哥網絡科技)」が運営をしており、移動コンテナ型の無人コンビニです。
Bingo Boxの仕組みは以下の通りです。
- 専用アプリのIDを入口でかざし、本人認証をすることで入店
- 店内で好みの商品を選択
- 出口に設置されたキャッチャーで商品をスキャンして電子マネー決済
Bingo Boxは2016年に第1号店を出店しています。
中国ではライフスタイルに電子決済が浸透しているため、電子決済を扱う無人コンビニの実用化がアメリカよりも早いといわれています。
Robomartプロジェクト
Robomartプロジェクトは、アメリカのロボマート社が運営する無人型自動運転コンビニです。
Robomartの仕組みは以下の通りです。
- 専用アプリで電気自動車のRobomartを呼ぶ
- 利用者の家の前まで、自動運転でやってくる
- Robomart内にある品物から好みの商品を選択
- アプリに事前に登録した銀行口座から自動決済
スマホさえあればスーパーマーケットがない地域でも自動運転で販売することができます。
わざわざ自分から足を運ぶ必要がないため、高齢者にとっても嬉しいサービスですね。
日本でも東京オリンピックで導入された「e-Palette」というトヨタが開発しているサービスがあります。
国内の事例
国内の事例を3つあります。
- ミニストップポケット
- 無人コンビニ「600」
- ローソンGO
ミニストップポケット
ミニストップポケットは、オフィスや工場、病院といった施設で専用のボックスを置いて
利用者が好きな時に商品を購入する仕組みで、完全な無人化のため、常駐する従業員は居ません。
決済方法は現金だけでなく電子マネーやQR決済も可能です。
ミニストップポケットを契約したユーザ企業側の初期費用は無料で、月額費用もかかりません。企業側が負担するのは、月額の電気代だけです。
商品のラインナップも多く、コンビニまで行く時間を省くことができることも利用者には嬉しいサービスです。
無人コンビニ「600」
無人コンビニ「600」は、600株式会社が運営している無人コンビニです。
専用の冷蔵ボックスを設置するだけで、オフィスやマンション内で買い物ができます。
専任コンシェルジュがついてきますので、LINE等のツールを使って個々のニーズに合わせた商品提供が可能です。
また、決済はクレジットカード決済になるため現金を持ち歩く必要はありません。
外出を省けることはもちろん、個々のニーズに合わせたサービス提供をしてくれると、リピートしたくなりますね。
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ローソンGO
ローソンGOは、アメリカのスタートアップ企業が開発した「Zippin」という店舗システムを使った無人コンビニです。
基本的な仕組みはAmazonGoと同じで、入店時にQRコードをゲートにかざして、商品を選んで退店という流れになります。
決済は事前に登録していたクレジットカード決済になります。
AmazonGoのようなウォークスルー型の店舗が日本にはなかったため、ローソンGOは注目されています。