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スマートキッチン・キッチンOSとは?–未来の食卓を支える最新技術に迫る

いちいち「今日何を作ろうか」と考えることや、料理中の失敗に嫌気をさしている方も多いのではないでしょうか。

昨今、家電がIoT化されたスマートキッチンによって生活データの取得が進み、キッチンOSによって好みや体調に合わせた提案をアプリが行ってくれるような日常が近づきつつあります。

ここでは、スマートキッチンやキッチンOSについてや、これらの技術を開発してる企業を紹介します。

スマートキッチン

スマートキッチンとは、IoT化された調理家電です。

調理家電がインターネットに繋がることで、「レシピの選択」から「買い物」そして「調理」まで一貫した料理データが蓄積。

蓄積されたデータからユーザーの嗜好を捉え、レシピを提案しECサイトでの購買までもエスコートしてくれます。

調理時もカメラのついた電気オーブンなどが出来上がりを調整してくれるため、料理で失敗することがなくなります。

また上記のような機能を搭載した料理ロボットというものがあり、こちらの記事で紹介しております。

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料理ロボットとは

キッチンOS

キッチンOSとは、スマートキッチンの頭脳にあたるものです。

スマホでいうAndroidやiOSであり、キッチン関連のアプリが幅広く動くデータ基盤を指します。

キッチンOSを扱うスタートアップは、ユーザーのプロフィールや調理・購買実績が集約されるため、「食のGAFA」と呼ばれ食領域のDXを進めています。

スマート冷蔵庫

スマート冷蔵庫は、東芝やパナソニックといった国内メーカーやアマゾンも開発中の今話題のキッチン家電です。

スマート冷蔵庫の中には、カメラが付けられているため不足した食材を教えてくれ、そのまま購入することができます。

また、レシピのデータがあれば必要な食材を提案してくれます。

後付けのカメラもあるため、自宅の冷蔵庫をスマート冷蔵庫にすることも可能なようです。

サムスンが販売するスマート冷蔵庫「FamilyHub」では、

  • ネット検索
  • デジタル写真や動画の表示
  • 家族のスケジュール管理
  • メモ書きやお絵かき
  • 音楽や動画再生

といった、スマホ顔負けの機能がふんだんに盛り込まれています。

スマートオーブン

スマートオーブンは、食材の温度を計測し、誰でも簡単にミディアムレアのような複雑な焼き加減を再現することができる調理家電です。

焼き方のアレンジはプログラムで可能となっており、ベイクドやトーストなど異なる焼き方を楽しむことができます。

また、プログラムした焼き方はデータとして残るためいつでも修正でき、自分だけのスマートオーブンにすることも。

機種によっては、スチーム機能による低温調理や調理後の自動洗浄機能が備わっており、今後のスマートオーブンの進化には目が離せません。

スマートIHクッキングヒーター

スマートIHクッキングヒーターはスマホと連携でき、火加減を自動調節するため料理の失敗を防ぎます。

また温度プローブと連動すれば安心、安全に調理ができます。

AEGのスマートIHクッキングヒーターは味噌汁を最適な温度で加熱、停止してくれるので目を離していても風味を損なわず安心です。

細やかな温度設定ができるので、低温調理から揚げ物などの高温調理まで失敗することなく簡単に作ることができます。

スマートキッチン・キッチンOSの有力企業

日本ではまだ馴染みの無いスマートキッチンやキッチンOSですが、海外では急速に普及しています。

特に勢いのある3社を紹介します。

<h3>Innit(イニット)

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出典:Innit

Innit(イニット)は、食のパーソナライズ化を進めるキッチンOSのスタートアップです。

味の好みやアレルギーなどの情報や冷蔵庫にある食材に応じてレシピの提案をスマホから受けることができます。

またそれだけでなく、必要な食材をECサイトから取り寄せたり、スマートオーブンなどのIoT家電と連携させて料理を作ることができます。

スマートIHクッキングヒーターを扱うAEGと提携したり、Googleと共同開発している注目です。

SideChef(サイドシェフ)

sidechefのイメージ画像
出典:SideChef

SideChefは、ステップ・バイ・ステップで料理をサポートしてくれるアプリを提供しています。

レシピ検索からスーパーでの買い物までIoTを用いることでシームレスに対応が可能となります。

初めに、サイト上のアンケートに答えます。日時や人数、時短料理や健康的な料理など料理の目的を答えます。

続いて、食の好みやアレルギー、ライフスタイルなどを答えると18000以上のレシピから1週間分の最適なプランを作ってくれます。

これらのメニューは近くのWalmartの商品と連携しているようで食材が無いことに困ることはありません。

SideChefは、家電メーカーや食品メーカーはもちろん、コンテンツプロバイダー等の企業と提携することで、全く新しいキッチン体験の創出を目指しています。

<h3>Drop(ドロップ) 

Dropのイメージ画像
出典:Drop

Drop(ドロップ)は料理を最適化し、ユーザーごとにカスタマイズできるキッチンOSを提供しています。

Drop(ドロップ)のキッチンOSはオーブンのリソースを共有するため、食材やメーカーの違いを認識し、レシピを書き換えることにより最適な時間、温度管理を実現します。例えば、レシピがシャープ、ユーザーがパナソニックのスマートオーブンを使って調理する場合、温める時間と温度をキッチンOSが判断し自動的に最適化してくれます。

食材の違いを判断し置き換えてくれるので、ユーザーのための料理としてカスタマイズでき調理がシンプルで楽になります。

また、他国のレシピを身近にしてくれるのがスマートクッキングスケール、「Drop Connected Kitchen Scale」です。

パウンドやオンスをグラムやミリリットルに変換する最適化機能を提供。

Drop(ドロップ) はたくさんのキッチン関連企業や有名シェフを巻き込み、家電とレシピの調和による新しい食体験を提供しています。

スマートキッチン・キッチンOSの日本企業

2018年8月「食&テクノロジー」をテーマに、Smart Kitchen Summit Japan2018 が開催され、国内外の大手からスタートアップまで様々な企業が参加しました。

展示ブースは多くの人でにぎわい、国内でもスマートキッチンに対する関心は高いようです。

ここでは、サミットに参加した注目の日本企業3社を紹介します。

シャープ

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出典:SHARP

シャープは、クラウドのAIとIoTを融合させ、パーソナルに特化した「COCORO KITCHEN」(ココロキッチン)を提供しています。

音声操作やスマホとの連動ができ、作ったレシピの履歴からユーザーの好みや嗜好をAIが学習します。

例えば、シャープのオーブンレンジ「ヘルシオ」は、和食を好む家庭でも肉の料理が多いか、魚料理が多いかなどを見分け蓄積されたデータをもとに料理を提案してくれます。

クラウドのレシピも日々更新され各家庭に最適なレシピを提案してくれるので、献立が決まらないストレスを解消しますね。

ほったらかしで煮物料理などが手軽に作れる「ホットクック」は、遠隔操作に対応しているため、外出先でタイマー設定を変更することができます。

また、シャープの冷蔵庫はドアの開閉や家族の在宅か否か、安否確認をすることができます。

このようにシャープは、IoTによる幅広い使い方を備えたスマートキッチンを開発しており、食のパーソナライゼーションを実現しています。

ニチレイ

me:newのイメージ画像
出典:me:new

ニチレイは、AIが献立を自動生成してくれるアプリ「me:new」をme:newと共同開発しました。

一週間分の献立をまとめて計画できるので、ストレスを軽減し時間も有効活用できます。

主食、主菜、副菜とバランスの良いレシピで構成され、同じ食材や調理法が重なる事を防ぐので飽きのこない料理を楽しめるのも魅力的です。

献立の買い物リストを利用すれば、食材を効率よく選べて食品ロスの削減も期待できます。

また、ニチレイは、アプリの様々なデータを活用することで「me:new」をキッチンOS化に取り組んでいます。味覚、香り、噛みごたえなど、ニチレイが培ってきた研究データに、購入理由や使用方法の分析結果を融合を目指しています。例えば、病気で好きな食べ物を我慢している人に対し、食材の置き換えや味付け、もしくは調理法で好みをカバーし満足のいく料理を実現できれば、食を通した幸福感を提供できます。

キッチンOSとしてのアップグレードに加え、レシピ動画やネットスーパーによる食材調達にも力を入れているニチレイのme:newの進化はさらに加速していくでしょう。

クックパッド

OiCy Serviceのイメージ画像
出典:cookpad

クックパッドは一人ひとりのおいしいを発見できるOiCy Serviceを展開しています。

OiCy Serviceはスマホと家電をつなぐスマートキッチンサービスで、新しい食体験を提供しています。

OiCy Serviceの一つOiCy Tasteは、スマホで検索したレシピと連動し、自動で調味料を配合してくれるレシピ連動調味料サーバーです。

レシピの再現性が高いだけでなく、好みに合わせた調節が可能。また、調味料の配合からレシピ検索ができるため、料理のなかで新しい発見をすることができます。

このように、レシピサイトであったクックパッドは、レシピをデータで共有しスマートキッチンと連携することで、物理的に料理に関わる取り組みを始めています。

また、クックパッドはシャープやパナソニック、アマゾンなどとパートナー契約を結ぶことでOiCy Serviceと連携する製品やサービスを拡充を目指しています。

スマートキッチンサミット

スマートキッチンサミットは日本でも開催され、食に関する問題や解決方法が議論される大規模な会議です。

専門家、投資家、スタートアップから大企業と幅広く参加しており、フードテックの最新トレンドを意見交換をしています。

スマートキッチン、代替プロテインの在り方や地球環境の問題の解決の方向性を模索しています。

一方で、スマートキッチンサミットでは、企業間の連携も重要視されています。

クックパッドとシャープの協同など、お互いの得意分野を掛け合わせたフードイノベーションの推進に取り組む場となっています。

このようにスマートキッチンサミットでは、サステナブルな未来に向けたアクションが育まれています。

スマートキッチンが作る未来

今後もフードイノベーションが進み、高いレベルのスマートキッチンが誕生するでしょう。

ただ空腹を満たすだけの食事から本来の食の在り方を取り戻し、感動的なコミュニケーションが生まれるようになります。

加えて、スマートキッチンは食品ロスや飢餓、温暖化といった地球規模の問題を解決し、人と地球がより良い状況を作るでしょう。

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